必ず必要になる介護の備え|「望ましい高齢生活を送るための終活8ステップ」ー9
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第3ステップ 老後の生活設計と医療・介護の備え :3-2 必ず必要になる介護の備え
介護のための備えと介護保険の基礎知識|施設選びと費用対策
日本の高齢化が進む中で、介護が必要な生活に備えることは終活の重要な要素となっています。
介護保険制度の理解や、在宅介護や施設介護の選択肢、さらに介護費用の見積もりと負担軽減策など、さまざまな視点での準備が必要です。
本記事では、将来的な介護リスクに備え、安心した生活を送るための具体的な準備と情報をお届けします。
1.介護保険制度と介護サービスの基礎知識
介護保険制度は、高齢者が安心して介護サービスを受けるために国が規定した社会保険制度です。
40歳以上が加入し、介護が必要になった場合に、自己負担1~3割でサービスを受けられるように設計されています。適切な介護保険サービスを選択することで、生活の質を維持しながら老後を過ごす準備が可能です。
1)介護保険制度の概要と基本的な仕組み
介護保険制度は、市区町村が運営し、40歳から65歳までの方は「第2号被保険者」、65歳以上の方は「第1号被保険者」として加入します。
要介護認定を受けることで、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホームなど多様なサービスを自己負担1~3割で利用でき、費用負担を大幅に軽減できます。
(参考記事)⇒ 介護保険制度とは?:「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」ー4
2)要介護認定と介護サービスの利用条件
介護サービスの利用には、要介護認定が必要です。
申請は市区町村に行い、調査と審査を経て要介護度が決まります。
認定は「要支援1」から「要介護5」まで7段階あり、要介護度に応じて利用できるサービスや支援の内容が変わります。要介護度が高いほど、利用できるサービスの種類や量が増え、介護支援の手厚さも増す仕組みです。
詳しくは、当サイトに投稿済みの以下のリンク記事で確認ください。
(参考記事)⇒ 介護保険利用申請の手順とサービス利用までの流れ:「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」ー5
3)介護サービスの種類と内容
介護保険で受けられるサービスは以下の通りです。
①居宅サービス
・福祉用具の貸与・購入
・訪問介護(ホームヘルプ):日常生活の支援を受けられるサービスで、生活のサポートや買い物支援、掃除、入浴介助などが含まれます。
・(訪問)入浴介護:専門職員が自宅で入浴の介助を行います。自宅での入浴が困難な高齢者向けです。
・訪問看護:看護師が自宅を訪問し、医療的なケアを提供します。病状観察、医療機器の使用サポート、医師の指示に基づく医療行為を行います。
・通所介護(デイサービス):日中、施設でレクリエーションやリハビリを受けることができ、家族の負担軽減にもつながります。
・通所リハビリテーション(デイケア):
・短期入所生活介護(ショートステイ):短期間の入所施設サービスで、介護者の休息や緊急時に役立ちます。
②地域密着型サービス
・小規模多機能型居宅介護:通い、訪問、泊りを組み合わせたサービスを住み慣れた地域で受けることができます。
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム):認知症の方が少人数で共同生活をしながら、家庭的な環境において介護サービスを受けることができます。
③施設サービス
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム=特養):常時介護が必要な、要介護3以上の、自宅では介護が難しい方が入所する施設
・介護保健施設(老健):病状が安定し、リハビリに重点を置いたケアが必要な方が入所する施設
・介護医療院:長期の医療と介護が必要な方が入所し、日常的な医学管理や看取り・ターミナルケア(緩和ケア)を受けることができる施設
介護サービスの種類・内容についても、当サイトの以下の投稿記事で見て頂ければと思います。
(参考記事)⇒ 介護保険を活用した介護サービスと費用の理解|具体内容と計算方法

4)保険適用外のサービスと費用
介護保険適用外のサービスには、リハビリ特化型デイサービスや家事代行サービスなどがあります。
こうしたサービスは、介護保険が適用されないため、全額自己負担となります。
例えば、リハビリに特化した施設や、見守り型訪問サービスは保険適用外であるため、利用する際には費用負担が増加します。
保険外サービスについては、やはり以下の当サイト記事で見て頂ければと思います。
(参考記事) ⇒ 在宅看護と介護保険外サービスの活用法|介護離職防止ガイド
介護保険制度を理解し、必要なサービスを適切に選ぶことで、家族と本人の負担を減らし、安心した生活を送るための準備が整います。
2.介護施設の種類と選び方
介護施設には様々な種類があり、サービス内容や費用も異なります。
本人の介護度や経済状況に合わせて最適な施設を選ぶことが、生活の質を保つために重要です。
1)介護施設の種類と特徴
介護施設には公的施設と民間施設があり、以下の種類があります。
・特別養護老人ホーム(特養):公的施設で、重度の要介護者が対象となります。比較的費用が抑えられ、長期入所が可能ですが、入所待機が長い場合があります。
・介護老人保健施設:リハビリを通じて在宅復帰を目指す施設で、医療と介護の両面で支援を受けられます。短期間の入所が前提で、医療ケアが必要な方に向いています。
・有料老人ホーム:民間運営で、サービスの充実度が高い反面、入居費用や月額費用が高額です。介護度が低い方から高い方まで対応可能で、生活環境が整っています。
・グループホーム:主に認知症の方を対象とし、少人数での共同生活を行う施設です。アットホームな環境でケアを受けられることが特徴です。
・介護医療院:長期の医療と介護が必要な方が入所し、日常的な医学管理や看取り・ターミナルケア(緩和ケア)を受けることができる施設です。今後ニーズが増えることが予想されますが、2024年4月1日現在、全国に926施設あり、多くは病院もしくは診療所から転換した施設で、不足している状況といえます。
(参考)介護医療院の開設状況について(厚生労働省資料)
2)施設の利用費用と高額費用の注意点
施設によっては、入所時に敷金、入居一時金、サービス費などが必要となる場合があり、入居一時金は高額になることが多いです。また、サービス費としての上乗せがある施設も多く、見学時にはこれらの費用も含めたトータルコストを確認することが重要です。公的施設は比較的費用が抑えられますが、民間施設では高額の月額費用が発生することがあるため、費用面の確認が欠かせません。
3)施設見学のポイントと注意点
施設を選ぶ際には、必ず見学し、設備や清潔感、スタッフの対応を確認しましょう。
また、見学時に食事内容、入居者の様子、スタッフの対応、施設内の雰囲気などを観察し、実際の生活環境が本人に合っているかを検討します。
複数の施設を見学し、家族やケアマネージャーと相談しながら最適な施設を選ぶことが大切です。
施設の種類や費用、サービス内容を理解し、本人のニーズや家族の希望に合わせた最適な施設を選ぶことで、介護生活の質を保ちながら過ごせる環境を整えましょう。
(参考記事) ⇒ 介護施設の種類と特徴、選び方のポイント | 介護離職防止の実践ガイド

3.介護にかかる費用と資金計画
介護費用は在宅介護と施設介護で大きく異なり、費用負担が家族にとって大きな問題となることが多いです。
ここでは、具体的な費用見積もりや、自己負担を軽減する方法について整理したみます。
1)在宅介護の費用
在宅介護の費用は、訪問介護やデイサービスの利用状況によって異なりますが、月額3万~10万円が目安です。
また、介護保険外のサービスを併用する場合、さらに費用がかかります。
例えば、訪問看護や家事代行サービスは全額自己負担となるため、サービス利用頻度が増えるほど費用が嵩む点に注意が必要です。
2)施設介護の費用
施設介護では、施設の種類やサービス内容によって月額20万~40万円以上が必要です。
特別養護老人ホームなど公的施設では比較的安価ですが、民間の有料老人ホームでは入居一時金やサービス費が発生し、総額が高額になる傾向にあります。
また、介護付き有料老人ホームでは手厚いサービスが提供される一方、年間数百万円の費用がかかることも少なくありません。
実際に各施設ごとに料金体系などがホームページで公開していることが多いので、関心をもった施設ごとに調べてみるとよいと思います。
3)自己負担軽減のための助成制度と医療費控除
介護保険を活用することで自己負担を抑えることができますが、地方自治体によっては独自の助成制度を設けている場合があります。
今後、当サイトでもそれらの事例を調べて、お伝えしていきたいと考えています。
また、介護費用は確定申告での医療費控除の対象にもなり得るため、年間の医療費が10万円を超える場合は領収書を保管し、還付申告を検討しましょう。
介護費用を正確に見積もり、自己負担軽減策を活用することで、経済的負担を軽減し、質の高い介護サービスを受けられる環境を整えることが可能です。
(参考記事)⇒ 自宅介護と施設介護の併用方法と費用比較:結城康博氏の視点から見る使い方と負担軽減策
4.リスク管理と介護に備えた資金計画
介護費用の増加リスクを見据えた資金計画は、将来の安心を支える重要な要素です。
特に、介護保険の適用外サービスが増加する場合や、施設費用が高騰する可能性があるため、計画的な資金準備が必要です。
1)介護費用増加リスクの要因
介護が長期化したり、要介護度が上がった場合には、介護費用が大幅に増加する可能性があります。
また、介護保険適用外のサービスを利用する必要が生じると、全額自己負担となるため、費用が一気に増えるリスクがあります。
2)リスクに備えた資金計画の立て方
将来の介護費用に備え、計画的に資金を準備することが重要です。
生命保険や医療保険の特約を活用し、介護が必要になった際の一時金を準備する方法もあります。
また、現金や資産の運用を行うことで、必要なときに柔軟に取り崩せるよう準備することも検討すべきです。
なお、最近では、民間の生保事業者が認知症保険や介護保険の取り扱いに力を入れており、利用者も増加傾向にあります。資料を取り寄せ、終活における介護リスクや介護費用負担発生に備えるべく、検討してみることもお薦めします。
3)専門家の助言を活用した資金計画の策定
ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談することで、将来の介護費用に向けた計画を立てることができます。
資産の分散や保険の見直しなど、総合的なアドバイスを受けることで、無理のない資金準備が可能です。
前回記事のテーマでしたので、以下で確認して頂ければと思います。
介護費用の増加リスクに備え、計画的な資金準備を行うことで、突然の出費にも対応できる経済的基盤を整えることが重要です。

5.希望する介護の準備と家族への伝達
将来的に介護が必要になった際に、どのような介護を希望するかを事前に考え、エンディングノートに記載し、家族に伝えておくことは重要です。
本人の意向と家族の状況に応じた介護方法をあらかじめ決めておきましょう。
1)希望する介護の種類と場所の選択
介護が必要になった場合、自宅での在宅介護を希望するか、施設での介護を選択するかを事前に決めておくと、家族も安心です。
特に、訪問介護を利用して自宅生活を続けるか、施設に入所するかは大きな決断であるため、資金や家族の状況を考慮しながら最適な選択を行います。
2)自身の介護方針と資産に基づいた選択
年金収入や預貯金の状況、家族のサポートが得られるかなどを踏まえ、現実的な介護方針を立てることが必要です。また、希望する介護内容や家族への配慮を含めた方針を考え、資金計画もあわせて整えておきます。
3)エンディングノートへの記入と家族への共有
自身の介護に対する希望をエンディングノートに記入し、家族と共有することで、いざ介護が必要になった際の負担が軽減され、スムーズな対応が可能になります。
希望する介護サービスや施設、費用負担の考え方を伝えておくことで、家族も安心して準備に取り組むことができます。
まとめ
終活の一環として介護に備えることは、家族と本人の生活の質を保ち、安心した老後を実現するために欠かせない準備です。
介護保険制度の理解、施設やサービスの選び方、費用の見積もり、さらに資金計画を通じて、リスクに備えた安定した生活基盤を築きましょう。
また、希望する介護内容をエンディングノートに記し、家族と共有することで、家族の負担を軽減し、介護が必要なときにスムーズなサポート体制を整えることが可能になります。
※ 前回の記事は、こちらで:終活における専門家の活用 | 弁護士・税理士・後見人制度で安心の終活準備
※ 次の記事は、こちらへ:介護のための備えと介護保険の基礎知識|施設選びと費用対策
なお、介護に関する種々の知識や考え方については、当サイトで既に投稿を終えている「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」シリーズで確認して頂けることが多々あります。
そのシリーズな中で、最もお読み頂いている記事が以下です。
その他の関心をお持ち頂ける記事も併せて、見て頂ければと思います。