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98歳義母「特養」介護体験記|コロナ禍の特養介護生活と2介護施設での費用を11記事で回想


人生100年時代の必要老後資金2000万円説。
その妥当性の一面を証明できるかのような経験を、2015年から2022年までの義母の介護体験でしました。

今回は、サ高住での5年間と特養での2年間の施設介護でかかった費用を比較合算して報告した記事を振り返り
ます。

2015年に入所し5年間過ごしたサ高住生活における利用諸費用と、今年2020年入所したばかりの特養の最初の一ヶ月目の費用の比較をしてみます。

当時93歳だった義母が、2015年3月下旬に入所し、2020年5月1日98歳時に退所した「サービス付き高齢者住宅」サ高住。
サ高住は、民間が経営する、個室賃貸に介護保険適用サービスと介護保険適用外サービスがセットされた高齢者向け介護施設。
利用料金体系は、事業所ごとに当然異なりますが、義母が5年間利用したサ高住の利用料金について概略をお伝えすることが、多少なりとも参考になればと思います。

下の画像が、要介護4になって以降の明細の例です。

介護保険適用外の<状況把握・生活相談サービス費>に、個室賃借分の<家賃><共益費>。この3費目の月次合計額が、定額で、月135,500円
初めからこれだけでかなりの金額になります。
家賃は入所時から変更ありませんが、共益費と状況把握・生活相談サービス費は、途中、<管理費>を二分し、認知症者の徘徊防止監視装置設置のためとして値上げされました。

下の明細の<2月分請求>とある部分が、月ごとに変動していきます。
先ず、<介護保険1割負担>と<居宅療養管理指導料>が、介護保険制度が適用されて受けた介護サービス自己負担費です。
前者は、認定区分毎に設定された利用限度枠内での利用実績に応じて負担します。
<提携医療機関診療費>と<薬剤費>が医療費で、利用に応じて変動します。
この月の医療費は、4,447円でした。
ただ実際には、これ以外に急性期病院等外来で病院にいけば、別途医療費はかかります。

それ以下は、サ高住が決めた基準で、利用者が負担する生活諸費用です。
2月は29日間で食費が57,420円でした。
電気代・テレビ視聴料で、5,622円。
上記の固定費を除いた、月間費用合計は、99,369円。
総合計が、234,896円となります。

ちなみに、最終月の請求は、固定費を除いた実績分だけで、分かりやすいので見て頂きます。

この間、要介護1で入居し、次も要介護1、次に要支援2になり、また要介護1に戻り、2年後の更新時期とほぼ同時期に要介護4に区分変更。

3種類の区分を経験したわけですが、当然区分の違いによって利用できる介護サービスの単位、イコール金額の限度が変わります。
義母は、自己負担が1割なので、実際に利用した介護保険適用サービス限度の違いほど負担額は違いません。
ただ、一応その違いの確認も以下で、簡単にしていきます。

前項で、退所直前の2ヶ月間の利用料明細を提示しました。
そこでの介護保険自己負担額(1割)は、17,602円と18,311円。
ですが、介護保険上、要介護4では、下表のように、30,938円まで利用できます。

しかし、従来受けてきた介護サービスに、要介護4になったことで必要となった全介助サービスの必要最小限のみを計画に組み込んでおり、その限度額をはるかに下回る額で済んでいます。
これは自己負担だけが少ないのではなく、保険者の負担も少なくて済むということです。

一般的に、事業者は限度ギリギリまでサービスを利用してもらおうとしますが、良識のあるケアマネージャーは、実態に応じてケアプランを組んでくれるべき立場です。

次に、入所したときの<要介護1>と、<要支援2>から<要介護1>に再度戻った時、どちらも<要介護1>の時の利用料明細です。

2015年7月が前者、2018年5月が後者で、総額は21~22万円程。
しかし、介護保険自己負担額は、前者が10,141円(単位)、後者が6,238円(単位)。
同じ<要介護1>なのに、自己負担は差があります。
再度<要介護1>に戻った時の方が、受けた介護サービスが少なかったためです。



ただ、どちらも、<要介護1>の支給適用限度基準額は共通で、下表にある、16,692円(単位)が月額の上限です。
ここでも、義母は限度額を大きく下回るサービスしか受けていません。

最後に、1年間だけ<要支援2>に区分変更があった時の利用料です。

要支援になると、管轄が自治体となり、「予防介護」という管理区分が適用され、受けられるサービスも減ります。
<要支援2>の支給適用限度額は、10,472円(単位)ですが、義母は、3,474円(単位)分しか計画を組まず、負担
もその額です。


前項での、要介護1に戻っても、最初の要介護1の利用実績よりも少ない額に収まっている理由。
それは、要支援2の時のサービスレベルに、要介護1になったのだからもっとサービスを増やすことなく、ほぼ同レベルでも構わないとしたことにあります。
これは、サ高住自体、人手不足で、仕事を増やす余力がなかったため、という部分があるかもしれません。
しかし、やはり、ケアマネージャーがサ高住とは関係のない、第三者の事業所に所属していたことも一つの要素と考えています。

ここまで、サ高住での生活での利用料と介護保険サービスによる認定区分によっての自己負担等について、例をお話ししました。

次に、特養の利用料金です。

基本は、<基本料金>と、<加算部分>に分かれ、その合計額という構成になります。

これが入所時の基本料金表で、義母は、<要介護4>の<第3段階>に当たります。
月間合計額(30日間の場合)が、95,760円のはずだったのです。が、先述したように、7月から、<食費><おやつ代><金銭管理料><日用品費>が、日額101円、月額3,030円値上げになりました。

この基本料金に、下図の<加算・減算等>項目の費用が加えられます。
例えば、専従の看護師が行ってくれる、褥瘡の治療措置の費用などが加算されます。
もちろん、医療費・薬代もプラスされます。

5月1日が入所日で、まだ通常の生活状況が確立されていない状況なのですが、私たちが最も気になっていたこと
の一つ。1ヶ月に実際どれだけ費用がかかるか、必要になるのか。

これまでよりも、いくらくらい負担が減るのか、おおよその目処を立てておきたい。
その思いをベースに、速報値として、報告したいと思います。

入所時に、サ高住で2週間分の薬を手配してもらっており、その費用は含んでいません。
また、入所後外来で嘱託医の医院に受診に行きましたが、その費用は、次月、特養から合算して請求があります。
それらの状況も前提としての数字です。
前回報告した、自己負担のエアマット代金が合算されているので、それを差し引くと、5月分は、109,755円にな
りました。

サ高住の最後の費用合計額は、234,896円
ほぼ12万5千円、負担が少なくなったことになります。
この月だけを見れば、ですが、年間で150万円、負担が減る。
大きいですね。
要介護1の時の平均的な月額は、ほぼ22万円くらいでしょうか。
それでも年に132万円の減少・削減。

ただ先述したように、医療費・薬代がまだ発生していない処理になっています。
また同様、7月から値上げもあります。
希望としては、月額11万5千円で収まらないかと期待していますが、実際には、12万円~13万円程度は覚悟しな
ければいけないかなと思っています。

結局、そこそこ安定的に想定される費用が分かるのは、7月度分の請求がある、8月下旬になります。
その折り、また報告をと考えています。

ここまでサ高住から特養への転入に関する経緯と状況などを、両者を比較する視点で振り返ってきました。
次回、その区切りとして、2種類の介護施設と事業を介護制度と結びつけて、利用者サイドの視点で課題・意
見などまとめてみることにします。

(以上2020年7月11日、記)


今なお振り返っても、要介護3以上の認定を受けることなく、サ高住生活がずっと続いていたら。
途中から、私たち夫婦が受給している年金から補填すべき段階に間違いなく入っていたと思い知らされます。
それは同時に、私たち夫婦の老後資金を減らし、自分たちの介護不安が増えていくことを意味します。
実際に義母の場合、最終的に老後資金収支がどうなったかは、別の回想でお伝えします。

こうした厳しい介護事情は、現在の介護保険制度と年金制度が招くものです。これを別の観点から考えると、要介護3よりも軽い介護度認定にとどまる場合、相当に経済的に余裕がなければ、有料老人介護施設は利用できないことを意味します。

これは結局、在宅介護を強いることになり、家族に重い負担を強いるか、介護離職せざるを得ない状況に至るか、という問題に行き着きます。
介護と仕事の両立が、いうほど簡単ではない現実が今そこにあるわけです。
団塊の世代の全員が後期高齢者になる2024年・2025年。
すべて想定されることとして、介護問題に備える必要があります。

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