
98歳義母「特養」介護体験記|コロナ禍の特養介護生活と2介護施設での費用を11記事で回想
11.100歳の義母、介護タクシーで整形外科外来受診|進む老衰、看取りの時期が迫る日々(2022/1/25)
98歳での義母の2020年5月特養入所からまだ2年を経過していない2022年1月までの介護体験記を振り返って来ました。
2019年終わりのサ高住での骨折前まではまだ十分元気でした。しかし、特養に移ると同時に、完全な車椅子生活になったことで、老衰が急速に進みました。
そして、101歳を迎える前に亡くなる大きな要因となった再々度の脚の骨折とその折りの外来診療を受けた日の回想。
これを、この第2フェーズの最後としました。

車椅子生活の特養入所者が、外来診療が必要な場合どうするか
一昨日1月23日の日曜日に、満100歳の義母が入所する特養から電話。
以前骨折し、手術をせず保存治療という何も特に施さない(一応)、自然治癒をめざす方法を選択し、車椅子生活になり要介護4と認定変更で、サ高住から特養に転所。
その骨折部位の近くでの痛みを訴え、腫れもあるので、状況が変わらないようならば、外来病院に行ってもらうかもしれないとのこと。
翌朝、早速連絡が入り、やはり病院に連れて行ってほしいということで、骨折時に診てもらった公立の総合病院にするか、特養が薦めてくれた近くの整形外科医院にするか検討。今後利用する可能性を考えた時、近くの医院がよいだろうと後者に。
診察の予約をとってもらい、施設の看護師に、状況を書面でも作成してもらう。
以前利用したことがある介護タクシーを手配。
あいにく、診察後の迎えは、先約があり不可能だが、替わりの介護タクシーを手配してもらえることに。
午後施設にいき、迎えの介護タクシーに同乗し、整形外科クリニックで受付、X線撮影、診察。
以前の(2度目の)骨折の下部に、新たな骨折を確認。
当然ですが、特に施術などできず、行わず、痛みには当分鎮痛剤で、腫れの部分は湿布薬で対応し、様子をみることに。
義母には、その旨伝え、なんとか落ち着くまで我慢してほしいと。
3度の骨折共、左脚大腿部で、2度目をやったときは、本人も手術はしたくないと意思表示し、高齢での手術リスクも考慮し、医師とも話し合い保存治療を選択。
今回は、当然選択肢がない状況ということで。

施設入所がかなわない高齢者、急増へ
特養入所生活でいろいろ発生しうる事情・状況は、すべて想定内のことと備えておく必要があります。
入所時の契約に、こうした外来病院での診察は、後見者が行なうことが義務付けられており、施設のスタッフが代行することはありません。
有償ならば代行するという規定もなく、単身高齢者で身寄りがない要介護者は、受け入れてもらえないわけです。
家族がいても遠方のため、必要に応じて介護・介助等の対応を、柔軟にできない人も多いでしょう。
団塊の世代の全員が75歳以上になるのが2025年。
介護問題の困難は、年々増す一方で、すべて10年以上前から予想されてきたこと。
現状のさまざまな問題・課題は、介護保険制度導入の2000年以来変わっていない。というよりも、段々悪くなっているというべきでしょうか。
段々悪くなる介護制度、介護生活、介護士問題
義母に関しては、要介護1・要支援状況の5年間は、サービス付き高齢者住宅の入所で、費用の負担が大きかった。
骨折と保存治療により要介護4になり、特養入所基準に至ったのですが、施設の空き待ちを余儀なくされると一時は覚悟。
しかし、奇跡的というとオーバーですが、新設開業予定であった現在入所の施設が、入所者募集中。
申し込み受付可能かつ、まだ満室にはなっていない状況だったため入所が認められました。
費用は、サ高住時代に比べ、月額で10万円近く下がり、高額療養・介護費の適用で少し還付もあり、義母の月々の年金に少し足りない程度で済むことに。
しかし、昨年後半に、介護保険制度の部分改定があり、食費の自己負担額が引き上げられ、月に2万円近くの負担増になっていました。
とうに年金生活に入っている私たち団塊世代夫婦も負担している「介護保険料」は、ほぼ毎年上がり続け、年金の手取り額も減少。
その年金も、次年度減額されることが先日明らかに。
当然自分たちが受ける介護に関する不安も、義母の特養生活の日常や非日常を意識するたびに、少しずつ現実味を帯びてきます。
そして相変わらず介護の現場では、慢性的な人材不足に加え、コロナ禍でのスタッフの方々の心身の負担の長期化が懸念されています。

日経掲載、介護関連記事から
まあ、自分たちがどうこう、よりも、私たちに続くあとの世代の負担や、彼ら・彼女たちの将来を常々考え、介護や子育てや結婚など、種々の社会政策に関する課題についても、検討・考察・提案すべきと考えています。
ちょうど、少し貯めていた最近の日経掲載の介護関連記事からピックアップし、介護政策関連記事シリーズを書こうと。
そうした折り、義母の骨折と外来受診という想定内の出来事。
この2ヶ月間以内においての、日経紙に掲載のその他の介護関連記事を検索し、目につき、気になった以下の25の記事を抽出しました。
1.介護テック、現場を支える 人手・施設不足の懸念緩和(2022/1/24)
2.SOMPOケア、介護施設事業者を買収、数十億円規模(2022/1/21)
3.おひとり様、老後資金の目安は1000万円(2022/1/20)
4.学研HD、介護施設1000拠点に倍増 IT化で大手先行(2022/1/17)
5.介護報酬1.13%引き上げ 10月以降、保険料増も(2022/1/12)
6.介護現場「人手不足」80%(2022/1/11)
7.ジンジャー、黒部市社協と福祉DX研究(2021/12/27)
8.介護職賃上げ、補助額3分の2はベアに 厚労省(2021/12/24)
9.要介護者の排せつ感知 秋田の官民がシステム開発(2021/12/24)
10.介護職など賃上げ、経験・技能評価を 政府委が中間整理(2021/12/22)
11.1人で4人介護可能に 政府、生産性向上へ規制緩和検討(2021/12/20)
12.人手不足の介護、規制緩和でどう変わる?(2021/12/20)
13.人口減とAI・ロボ活用「自動化進んでも人の役割大きい」(2021/12/16)
14.介護・保育の賃上げ目標、3年ごとに見直し 中間整理案:(2021/12/16)
15.介護データベースは助走中 遠いケア最適化(2021/12/13)
16.茨城県「ケアラー条例」可決 介護の子供らを支援(2021/12/10)
17.ロボットに冷たい介護報酬 賃上げ政策が問う生産性 (2021/12/8)
18.認知症の兆候、血液検査で発見 シスメックスが23年にも(2021/12/6)
19.認知症、家族が資産管理 預金引き出しや株売却容易に(2021/12/5)
20.介護現場、外国人材いつ来日? オミクロン型で再び制限(2021/12/2)
21.損保ジャパンと川崎重工が実験、配送ロボを在宅介護に(2021/12/2)
22.ハウステンボスで自立支援介護 兵庫・宝塚のポラリス(2021/11/30)
23.保育・介護職員の待遇改善 公費助成と企業努力の両輪で(2021/11/29)
24.介護現場、DX競う 「日本モデル」を磨く好機に(2021/11/25)
25.保育・介護で強まる公務員色 サービス向上、民の創意で(2021/11/24)
(以上2022/1/25記)

100歳義母の特養生活に迫ってきた私たちの介護生活の終わりと始まり
今回の記事の投稿が、2022年1月25日。
101歳の誕生日を迎える10月にあと2ヶ月と迫っていた8月に義母は亡くなりました。
まだ面会禁止が継続されていたこともあり、義母の日々の衰えについて直接会って、見て確認する機会がほとんどなく、食が細っていること、水分も取らなくなっていることなどを看護士さんから聞くことで推察するにとどまっていました。
年齢も年齢だけに、そろそろ看取る時期が迫ってきている。
忍び寄る看取りの時期を感じ取るなか、わが国の介護問題の今後を憂う。
そのような意味・意義を含ませた、今回の特養介体験記の最終回になりました。
コロナ禍での特養生活を義母に送ってもらっている期間は、私たち夫婦はどんな生活だったか?
新型コロナウイルス感染症は、基礎疾患に罹っている人の死亡率が高いとされており、心臓弁膜症などを抱えていた妻に対して非常に大きな不安を与えました。
そのため心身とも不調を来し、自律神経失調症が今も続き、日常生活に影響を与えています。
特養入居期間は、義母に対する心配よりも自分自身の不安の方が大きく、心のゆとりがない日々の連続だったといえます。
例えが悪いですがそうした状況になった時から、私たち夫婦間での相互介護、老々介護の疑似体験が始まった。そういえるかもしれません。
私自身、一昨年からあまり聞かない耳の病気に罹っており、来年早々、二人とも後期高齢者となることから、ますます老々介護に近い状態に入っていくと思います。
当サイトにおける自分たちの介護の実践編も近いうちに投稿できるかもしれません。
相互介護の準備という「介活」と実際の介護生活という「介活」を、「終活」と重なり合わせて進めていくことになります。
※このシリーズは、以上で終わりです。
<第1フェーズ>「サ高住介護期」回想記は、こちらでした。
⇒ 93歳義母「サ高住」介護体験記|2015年の記録と気づき – 介護終活.com
次回は、体験記最後の<第3フェーズ>。「100歳義母看取り・見送り体験記:終活完了期」です。
こちらも、関心をお持ちいただけるのではと思います。

この記事へのコメントはありません。