
98歳義母「特養」介護体験記|コロナ禍の特養介護生活と2介護施設での費用を11記事で回想
6.コロナ禍、緊急事態宣言下における面会禁止など特養入所3ヶ月の生活状況(2020/7/10)
2020年5月1日、新型コロナウイルス感染症蔓延に伴っての緊急事態宣言下、義母は特養に入所。
入所して発生した、あるいは入所後分かった、義母の健康や生活状況によって、施設からの要望・打診が矢継ぎ早にき
ました。
老人介護施設でのコロナ感染によるクラスターや死者の発生や、事業活動の縮小・停止などの情報が相次いで伝えられ、面会禁止など行政による指示も一層厳しく。
今回は、5月1日の入所以降2カ月余の間に起きた、私たちにとっては想定外の非日常事を取り上げます。
一応、特養に無事入所できたわけですが、いきなりの環境変化です。
今まで特に義母だけにやってもらっていた朝食の食パンにスライスチーズを乗せて焼いてもらうサービスと、食後にリンゴを食べさせてもらうこと。
どちらも、特養では対応してもらえないことは義母には前もって伝えてありました。
(チーズとリンゴは、こちらが用意してサ高住に持っていっていたもの。リンゴは、昨年終わりまでは、2週間分皮をむいてカットして持参。冷蔵庫保管。)
冷蔵庫も特養では持ち込み不可で、冷蔵庫で保管し本人が食べたい時に食べる、ということも不可能に。
スタッフも、初めは見知らぬ人ばかり。
施設にも人にも、食事も、すべて慣れるまでは、いろいろあることは予想してのことでした。
種々発生するだろうなという心の準備をしてはいても、いつどんな電話がかかるか不安で、電話が鳴るたびにビクッとしました。
妻、初めて特養訪問
サ高住生活の折には、入所後1年間程度を除いてほとんど母に会いに行かなかった妻(長女)。
子ども時代の母との確執がトラウマになっていたため、行けなかったのですが。
特養入所でこれからの経済的な負担の不安が軽減されたこともあって、ホッとしたこともあり、早く特養に行きたいと。
思い立って、入所日の翌々日3日に二人で特養に。
ところが、施設サイドでは、コロナで面会禁止と当方が理解していると思っていたのか、予想外の、なんで来たの?なにしに来たの?的な反応。
来てもらっては困る、みたいな応対だったのです。
娘が初めて来たので、と半ば強引に義母の部屋に通してもらった感じ。
入室すると、母はベッドに横になり眠っている。
しかも同じユニットの別の部屋からは、認知症なのか、入所女性が発する大きな奇声が。
特養サイドには、できるだけ車椅子に座って生活するよう依頼していたので、初めての訪問時に眠っていたのには、私も愕然と言うか、不安になるというか。
ある程度は元気な母親をイメージしていた妻にとっては、相当のショックだったはず。
無理やり起こして、娘が来たことを伝え、なんとか本人と分かってから、持っていったイチゴとリンゴを食べさせ・・・。
一応、面会し、少しばかりのコミュニケーションはできたのですが、これからの生活に不安を抱かせる、久しぶりの母娘対面になってしまいました。

入所前健康診断
次に入所早々に起こった問題は、特養での主治医となる嘱託医医院へ外来で行っての初診受診について。
4月下旬に、行く必要はないと念押しがあったのですが、入所後数日してから、やっぱり行ってくれとの連絡。
しかも、5月7日に、その嘱託医が初めて特養に(定期の)往診に来るにもかかわらず、翌8日に直接医院に行ってくれと。
初めからそうと決まっていたのなら、入所前の4月下旬に済ませていたものを、入所早々、ああしろこうしろ。
その上、往診後に行くのもどういうことか。
本来、往診前に外来で行き、カルテを作っておいた上で施設往診があるべき。7日になったのは、GWで日程がとれなかったため。
もうどうあがいても、こちらの言い分は通らず。
日々利用している特別のクッションを使っている本人の車椅子を、折りたたんだり広げたりすること自体ムダな作業。なので、施設の車椅子を借りて車に積み込み外来受診。
ついでなので、妻も同乗して医院にも付添い、帰りの車の中でリンゴを食べさせました。また(私たちが好きなこともあり)ミニストップにも立ち寄って、ソフトクリームを食べさせ、と、それなりに有意義な束の間のひとときを。
栄養補助ドリンク利用推奨連絡
5月8日(金)に主治医医院往診を済ませた日の週明け月曜日11日に、管理栄養士から電話。
またまた何事かと。
食事が細く、ご飯1食160グラムのうちかなりを残してしまう。
栄養が不足気味なので、栄養補助ドリンクの試供品を飲ませたら「美味しい」「飲む」というので、別に費用がかかるが、注文していいか、と。
「はい」としか返事のしようがない。
その日に訪問し、現物を確認し、了解。
ちなみに、5月分として、3,450円の請求。
1カ月まるまるになると、通常の食費に、5~6千円加算される。
私も入院経験があるが、丼飯160グラムは高齢女性には多過ぎるはずだ。
飯だけはしっかり食えと言われている感じで病院食には、食事を楽しむ雰囲気はなかった。
(ついでに余分なことを言うと、管理栄養士が基準だと言い張った塩分の多さ、おかずの塩辛さにもまいった。栄養基準とやらはどこかおかしい。)
本来ならご飯を少なめにして、副菜など他のものでカロリーを摂るようにすべきではないか、老人ならばなおさら。
なんとなく、商売めいていないか。
ブツ、ブツ、ぶつ・・・。
背中の褥瘡には、エアマットが良い
入所後のバタバタは、簡単には収まらない。
翌々日13日には施設長から電話。
背中の褥瘡の具合があまり良くなく、本人も痛がっている。
看護師もいろいろ工夫しているが、ベッドのマットをエアマットに替えた方が、身体への負担が少なくなるので、購入を薦めたい。
またまた費用がかかる話だ。
品名を一応聞き、検討する旨返事。
ネットで調べてみると、はるかに10万円以上はする。
車椅子とクッションで10万円近く使ったが、それ以上の費用が特養入所にかかることになる。
結局、特養経由で購入したほうが安いので、19日に施設長に、注文を了承する旨電話した。
しかし、注文書に署名捺印が必要ということで、21日に他の用事も兼ねて訪問するついでにその書類を受取ることに。
これも、栄養補助飲料同様、「ノー」という選択肢はない。

ソファー回収、折りたたみ椅子と交換
21日の用事は、入所時サ高住から持ち込んだ一人用のソファが、不要で場所ばかりとっていたので引き上げることに。
そのため、21日に訪問する旨、19日に施設長に伝える。
替わりに、事前にニトリで買い求めた折りたたみ椅子と交換。
もちろん、妻も同行し、リンゴとイチゴを持参し、食べさせた。
幸い、部屋はスッキリした。
積み込んだソファは、帰りに市のクリーンセンターに立ち寄って廃棄処分。
新型コロナ感染症対策で、特養の団体と自治体等の申し合わせで、家族といえども緊急の場合を除き面会禁止継続中のことばかりです。

反・朗報?続々:利用料金値上げ!
5月26日に緊急事態全面解除があったのと歩調を合わせてか、5月下旬は何事もなかったのですが、6月に入って、ミニ爆弾が投下。
6月6日に、なんと、入所2カ月後に、7月から利用料金を以下のように値上げする旨の通知。
・日用品費:1日168円が、193円に
・金銭管理費:同じく62円が、76円に
・おやつ代:122円が、131円に
・食費:1,507円が、1,560円に
というもの。
月間で3000円程度の値上げです。
こちらの方の音が上がってしまいそうです。
特養だけだなく、他の介護事業も同時なのですが、こちらは5月1日に開業したばかりの事業所だけに、何とも言いようがありません。
どうしようもない立場ですね。

入所禁止・玄関先仕切り越し面会で水要り話?
反朗報、非朗報は、追い打ちをかけるようにやってきます。
6月12日には、またまた管理栄養士から。
今度は、お茶をほとんど飲まないので水分が不足している。
それで、ゼリー状の飲みやすいドリンクを飲むようにしてはどうか。
試飲したら美味しい、飲むと言っており、十分補給とはいかないかもしれないが飲んだほうが良いので、
施設で注文していいか、と。
もちろん別料金。
一所懸命、熱心なのもいいが、すべて別料金を必要とする対応はどういうものか。
実は、サ高住退所数ヶ月前までは、義母が好きなバナジウム天然水のペットボトルを、5年前の入所以来、ネットで2ダース入り2箱をほぼ定期的に注文し、施設に直送していた。
いつもは、自分で小さなペットボトルに継ぎ足して飲んでいたのだが、数ヶ月前から飲むペースが一気に落ち、欲しくなくなったようだったのでやめた経緯がある。
そこで、翌13日に訪問し、義母と話しをすると返事。
行ってみて、ビックリ仰天!
一応面会禁止状態が継続しているにしても、てっきりホール等施設内で話ができると思っていた。
しかし、なんと本人は車椅子で連れてこられ、仕切りガラスの内側に。私はその外側、玄関に設置されたソファで、犯人との面会のシーンのようなシチュエーション。
怒りと情けなさが入り混じり、それはないでしょう!と抗議しても、決まりですので、の一辺倒。
5月の対応は特別だったと。
ドアの開閉口にスタッフが立って、両方の言葉の伝達係。
ペットボトル水に関する事情を施設に話し、本人が飲むというならばこちらで手配するので、(その時持参した)小瓶に少しずつ移して飲ませ頂くようお願いし、了解を得る。
本人も飲むと言うので。
そして家に戻って即日、配達先をサ高住から特養に変更して、ネット注文。
数日後に配達。
今のところ連絡はないので、飲んでくれていると思います。
まあ、とにかく、馬鹿げた話を含め、いろいろあります。
何があっても覚悟のこと、あり得ることと思っているので、一つ一つこなしていくだけなのですが。
いつまで続く面会禁止
ウィズコロナでの特養入所とその生活ほぼ50日間。
6月5日には、面会禁止継続について、「感染症予防対策継続」についての以下の通知がありました。

緊急やむを得ない場合の筆頭は、「看取り」状態になった時。
コロナは凄まじい影響を日常生活にもたらしているわけです。
また、6月19日付けでこのような施設行事中止の案内も。

蛇足ですが、入所日にすべて提出した特養と締結・交換する契約書・委任状・確認書など書類一式の入所者保証人分が、いつまで経っても送られてこないので、再三確認。
郵送されてきたのが、上記の予防対策継続案内と同封での6月6日。
この遅滞・怠慢は、こちらへの要求が一方的なことを考えれば、いかがなものかと考えること、しばしでした。

7月は、介護及び医療関連証明の更新時期
特養入所にあたって、義母が個人市民税非課税だったので、介護保険限度額認定の手続きを。
<第3段階>の適用を受ける「介護保険限度額認定証」を市で発行してもらいました。
その有効期限が、毎年7月31日。
入所時に、特養サイドでその手続きの代行を行うこととされていたので、その案内が7月1日付けで郵送。
預貯金通帳の残高のコピーが必要で、本人名義の利用料金引き落とし用口座通帳は特養預かり担っているので当然なのですが、結局すべての通帳残高のCOPYが必要なので、私も銀行に行くなどし、書類を整え、6日に施設宛返送。
その際の案内書面は、以下です。

他に7月31日が期限で、更新される「介護保険負担割合証」や「後期高齢者医療被保険者証」「後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証」などについても触れられています。
こういう雑務・雑件も、負担する費用に関することが多く、面倒ですが欠かせません。
ただ、より簡単に、合理的に処理できるような行政改革が必要なことは言うまでもないでしょう。
他には、無料がん検診の案内が郵送されてきており、検診の必要はないのですが、嘱託医とすれば問診だけでもすれば収入になるので、施設経由で、施設に書類一式持ってきて欲しいと6月20日に電話で連絡。
しっかり、ちゃっかりしています。
義母に食べさせて欲しいとリンゴを持っていきがてら、22日に届けました。
入所して80日。
日記のメモをたどり、関係する書類を探すと、あっという間ですが、やはりいろいろあるな、あったな、という感じです。
もちろん、在宅介護の大変さの比ではないですが、冒頭書いたように、電話がかかるたびに特養からではないかとビクッとします。
想定内・想定外、すべて何があっても仕方ないことと達観。
かつ備えつつ、柔軟に対応もし、間接的介護体験を重ねていく日々です。
次回は、先のサ高住と、この特養との利用料金・必要費用の比較を予定しています。
(以上2020年7月10日、記)

緊急事態宣言下の面会禁止生活の異常性の継続と介護サービスを受けさせてもらう立場の弱さ
今月5月8日から5類に移行した新型コロナウイルス感染症ですが、私たち夫婦は、変わらずマスクを着用
する日々を過ごしています。
特に妻が自身の健康に不安を感じていた状況下での2020年初期からの緊急事態宣言コロナ禍。
そのため心身共に不調を来し、今も不安を抱えたままの状態であり、やむを得ないと考えています。
特養入所申込みから決定、入居準備、入居、そして新しい生活。
老人介護施設が最も感染と高齢者の死亡リスクが高く、実際にそうであったため、義母が入居した特養とそのグループ事業所でも、非常にピリピリした対応を、入所者とその家族に示しました。
やむを得ないことだったとはいえ、安心してお任せできるであろうと、特養生活をある意味期待していた私たちにとっては、義母本人の状況も含めて、こちらも日々ピリピリした対応と生活を強いられたことを、今もって思い起こされています。

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