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98歳義母「特養」介護体験記|コロナ禍の特養介護生活と2介護施設での費用を11記事で回想

今回は、順序が逆になりますが、この後必然的に新たな特養での生活との比較に備える意味で、5年間にわたったサ高住生活を総括することにしました。

回復期病院を退院と同時に老人施設への転入を考え、いくつかのサービス付き高齢者住宅を見学。
特養は、当時要介護3以上という縛りはなく、1か所見学に行ったのですが、規模が大きく、古く、遠い。
いい印象がなかった上、空きがなく、いつ入れるかまったく分からなかったので論外と除外。
(実は、その特養経営グループの新しい特養に、今回入所することになったのですが。)

費用面を考えると、サ高住しかなく、4か所くらい見学に行き、最も新しく、近くて便利な施設を文句なく選択。
そこに5年間、お世話になったわけです。
このサ高住。
サービス付き高齢者住宅と「住宅」という用語が入っていることで分かる通り、部屋を賃貸し、入居者をケアしながら、プラス介護保険利用の各種介護サービスを受けることができる老人施設。

今回、高い権利金など初期費用がかかる有料老人ホームなどと異なり、アパートを借りる感覚。敷金(家賃)2ヶ月分14万円と家賃を1ヶ月分7万円、合計21万円前払いすれば入所できることが特徴でした。
加えて、この施設の経営者が医師で、隣にその内科医院があり、処方薬局も同一敷地内にあることで安心感があったこと。
(医師にとっては、経営効率も高く、メリット十分でしょう。)

また、見学した他施設と異なり、新しく明るいということに加え、1階建てで、安心感があったことも上げられます。
2層の場合、介護スタッフは大変ですし、もし2階の部屋に入居となった場合は、恐らく、1階と2階を行ったり来たりの生活になったと思います。

介護を受ける方は受け身ですから関係ないように思えます。しかし、スタッフのストレスを考えると、1層の施設の方が絶対にいいと思います。
このサ高住の収容定員は、夫婦で入所できる部屋も2~3室ありますが、30人以下。規模的にも、レイアウト的にも、スタッフが仕事をしやすいのではと思います。
これは入所する方にとっても安心感があり、大切な要素と考えています。
万一人手不足の場合、2階建てや中規模以上では心配です。

今度入所することになった新設の特養もそうですが、現状の地域密着型の特養は収容定員が30人未満29人で、1層なのは安心です。

もちろん良いことばかりではありません。
本来ならば安い費用で利用できる特養が希望でしたが、入れず、やむなくサ高住にしたわけです。
入所時の初期費用が比較的低額で済むとはいえ、入所後の費用は、それなりに高いです。
家賃、共益費、状況把握・生活相談サービス費の3費目で、毎月13万5500円かかります。
これに食費や介護保険自己負担費、その他諸経費がかかります。

要支援2から要介護4まで経験しましたが、安くて月21万円を切ることはなく、高くて24万円を少し超えるくらいの費用を毎月引き落とされていました。
要介護4になってからは、24万円を超えるようになりました。
これ以外に、訪問時に持っていく食品・衣料品・日用品などの費用がかかります。
(後日、特養で実際にかかる費用との比較記事を投稿する予定です。)


次に、サ高住の運営・マネジメント等についての体験からいくつかメモしてみます。


1.ケアマネージャー(介護支援専門員)の頻繁な交替・変更

介護保険を利用して介護サービスを受ける時、毎月前月に、サービス計画をケアマネジャーに立ててもらい、それに従って介護士さんが各種介護サービスを行います。

そのケアマネジャーが、5年間で4回替わりました。
初めの交替は、2015年の<第1フェーズ>の介護体験記の最後に書いています。

サ高住の事務所内に、「居宅支援事業所」があり、専従のケアマネジャーが居ました。
施設内で一般介護サービス行う「訪問介護サービス事業所」との線引きやケアマネとしての責任の幅など、同一施設内では微妙
なところがあると当時は推察していました。
そのケアマネさん達が、義母の入所時に親切に対応してくださった方々だったので、随分唐突に感じた記憶が残っています。

2回目は、要支援2に区分変更になり、管轄が市(自治体)となったために、市から委託を受けた地域包括支援センターのケアマネージャーに担当替えに。

3回目は、要介護1に戻ったことで、サ高住が手配していた、名古屋市に本社がある民間企業の若い男性ケアマネに。

4回目は、その民間事業所が、営業地域の再編成で縮小・撤退。
そのため、以前実績のある地域包括の事業所に戻るわけですが、その事業所が担当地域を2分割していたので、新たに設置された地域包括のケアマネジャーに。

本来、何か問題ない限り、ケアマネジャーが交替する必要はないのですが、介護事業の難しさ、介護業界の動きの速さ・激しさの現れと言えるでしょうか。
そのケアマネジャーが作成するケアプランは、現状無料なのですが、介護保険制度改定で有料化を国は目論んでおり、注視する必要があります。

2.委託食堂業者の変更

これも、恐らくどの事業所も悩むところではないでしょうか。

多くの施設が、自営ではなく外部委託するでしょうから、基本的には受託事業者サイドの問題と言えます。
収容人数が多ければ事業的にも成り立つでしょうが、30人に満たない少人数対象の場合、やはり経営的に難しいのではと感じます。
原価を落として、調理済み品を用い、事前に準備しておくことになれば、美味しくありませんし、メニューも限定的です。

義母は、入所以来、ずーっと「ご飯が不味い。ろくなものを出さない。」と不平・不満たらたらでした。
サ高住に伝えても、なかなか改まらず、ようやく業者を変更しても、そうそう良くなるはずもないでしょう。
3回は業者が代わったと思います。
退所少し前に、ウォーマーを持っている事業者に替わるので、温かいものを食べてもらえるようになるとのことでした。
もう数年早ければ良かったのに!

3.介護スタッフ不足

これはもう、このサ高住だけではなく、介護業界全体共通の問題です。
常に「スタッフが足りないので」と施設長がこぼしていましたね。

もちろん夜勤の交替勤務があり大変なことは変わらないのですが、このサ高住は、1階建て。
利用者もショートステイがあるわけでなく、入居者だけで多くて20数人。
新しくて、清潔で、医師が経営。
他と比べれば、とても働きやすい施設に思えたのですが。

ちょうど、退所が決まったころも何回も継続して新聞折込チラシに求人を打っていました。その同じチラシで、
入所する特養とそのグループ特養も求人していたのには、なにか因縁めいたものを感じたものです。

4.施設長の交替

これも業界特性の一つになるのでしょうか。
大手企業では、人事異動でということは日常的でしょうが。

介護施設では、責任者の交替はあまりない方が良いと思うのですが、当施設では5年間に4人は替わったと思います。
交替するたびに、引継ぎ確認ためのミーティングがあり、都度呼び出されるわけです。

特にひどかったのは、3年前くらいに、どこからスカウトしたのか分かりませんが、いきなり知らない男性施設長に。
しかし、2~3か月後くらいだったと思います。
あれっという間に従来からいる女性介護スタッフに替わりました。
この女性には、義母もお世話になっていたので、ほっとした記憶があります。

しかし、この女性も一昨年末に辞めるとの電話。
もちろん、理由はおっしゃいませんでしたが。
新しく施設長になったのが、退所時の施設長だった女性。
このサ高住開業時からいたそうで、義母の世話もしてくださっていたとのこと。
これまでで最も落ち着いて、少しおっとりしていて安心感がある、とても良い方でした。
慢性化した人手不足の状態では、お休みも満足に取れない日々でしょう。
たまたま私と同じ苗字だった女性。
頑張って頂きたいと思います。

いずれにしても、5年間という長い期間、本当にお世話になりました。
主治医でもあった施設経営の医師にも、安心して医療付き介護生活サービスを総合的に受けることができたこと感謝しております。

骨折する直前までは、少しは記憶や意識が低下してきてはいましたが、歩行器で一人で動いていたのです。
それが、骨折して要介護4の認定を受けてからは、完全に車椅子生活に。

そのため、運動量が一気に減り、食が細くなり、次第に体重も減っていくことが見て取れました。
歩行器生活の時は、ほとんど自分で用を足していたのですが、昨年頃からは、転倒することもあったようで、極力、コールボタンでスタッフを呼ぶようお伝えられていたのですが。
しかし、なかなか助けてもらおうとしなかった。
まあ性格ですから、やむを得ないのですが。

しかし、骨折して車椅子生活になってからは・・・。
それでも何とか自分で、という意識は残っていたようです。
一応、紙おむつも退所までほとんど使用せず、リハビリパンツに尿漏れシートを併用する程度でやってきたとのことでした。

施設への出張美容の利用は、4年間は、毎月カットと髪染め。(1回5千円)
後の1年間は、施設長に話して、2か月に1度、偶数月にしてもらいました。
全般的に手のかからない高齢入居者だったのではと思っています。

当初は、毎週土曜日に、私が、妻が用意する皮を剥いてカットしたリンゴや果実、好物のフライ、スライスチーズ、その他衣類や化粧品等は必要に応じて持参する。

2年目くらいからは、隣の市に住む妻の妹(義母の次女)に、隔週交替で担当してもらうことに。
4年目くらい最後までは、それぞれ2週間に1回に。
お気に入りのバナジウム天然水ペットボトルは、2ダース入り2箱、ほぼ定期的にネット発注し施設に直送手配。

いつも食事に文句を言いながらも、さしたる病気もせず、要介護4になるまで健康に生活できた。
ただ、最初の骨折入院から、一度も自宅に帰ることはなかったことは残念に思っているでしょう。

しかし、現実的に、娘(妻)が心身とも不安な状態を続けており、その遠因が義母自身にもあることは理解・自覚していましたから、やむを得ないことと思っています。

義母も、2年前くらいからは、私が行った折には「〇子さんは、元気かな?」と声をかけてきます。
妻は、義母との関係、自身の健康などに加え、サ高住にかかる費用負担の大きさにも心を痛めており、今回の奇跡的な特養入所と経済的負担の軽減で、相当ホッとしているのが現実です。
それらを含めて、義母が、何をどの程度理解しているのか、実際のところ分かりません。しかし、特養への転居・転入を黙って受け入れてくれたことに、答えがあるような気がしています。

サ高住という老人介護施設についての介護制度における位置づけやその望ましいあり方、サ高住と特養との実際にかかる費用の違いなどについては、日を改めて述べることにします。

次回は、入所が決まった特養への入所までの経緯と特養についての基本的な事項について報告をと思います。

(以上2020年7月8日、記)

義母のサ高住生活と私たち夫婦の義母介護生活を振り返ると、その折々の介護施設の経営と介護サービス運営の実態と問題点も確認し、どうあるべきかを考える機会を与えてくれます。

長く経営コンサルタントを仕事としていたこともあり、介護施設経営やその業務マネジメントにも非常に関心がありました。ゆえに望ましいあり方を考えたことも多々ありました。
それらの経験をする中で、介護保険制度や介護行政の改善・改革を提案もしてきました。

この回想記は、廃止したWEBサイトからの転載ですが、それらの過去の意見・提案も、いずれ当サイトで取り上げていく予定です。
その多くが、現在も変わらず、あるいは場合によっては一層悪化していることも想定内のこととです。
今年は、3年に1回行われる介護保険制度改定の年です。
それが絶対に「改正」とはいえず「改悪」となることも、想定されたこともいうまでもないですね。


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