2017年~18年のお墓事情:「望ましい高齢生活を送るための終活8ステップ」シリーズ番外編ー2

終活

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年間死亡者数が130万人を超える多死社会時代を迎えています。
その時必要になるのが、葬儀やお墓をどうするかという増えるニーズへの対応。
葬式や墓の用意、財産の整理、エンディングノート執筆など、終末や死後について自ら考えて備える、2012年に流行語大賞の一つに選ばれた「終活」。
親子孫の「三世代同居」は今では世帯数全体の11%、代って増えたのが「夫婦のみ」(31%)と「単身」(27%)。
そして、高齢者世帯の約6割は最期を託す子がいないか、いても別居。
家族の姿がこう大きく変容したことも背景にある「終活」ブーム。

以上の文章も、お恥ずかしいのですが、以下の多数の記事のどれで記述したものかか、日経記事からの引用だったのか、はっきりと断言できないのです。
ここで冒頭用いたのは、「終活」という用語がいつから用いられるようになったかを確認したかったこと。
2012年の流行語大賞の一つに選ばれたとあり、その数年前から社会的な認知を得ることになったわけです。
2008年に週刊朝日で、「終活」という用語が初めて用いられたことは、前回の番外編ー1でお伝えしました。
そうした認識を前提として、2017年、2018年の終活事情を確認します。

2017/3/21と翌3/22付日経夕刊で、『130万人のピリオド 今どきの弔い』と題した特集が2回掲載されました。
年間の死亡者数が130万人を超える時代。
その最期とその後をどうするか、現状から考えるレポートです。
今回はその1回目。
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 先祖代々の墓引っ越し 近くに改葬、無縁化防ぐ
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年間130万人もの人が亡くなる多死社会。
少子高齢化で、去りゆく人が増える一方、見送る人は減っている。
人口構成の変化で「弔いのカタチ」も変わりつつあり、郷里にある先祖代々の墓を自身の生活圏などに移す「改葬」がじわじわと広がっている。
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東京都区内に住む会社経営のTさん夫婦は昨年1月、四国の市にあったTさんの父親の墓を都内の別の区の霊園に移した。
夫婦とも四国の出身だが、東京での生活が20年以上になる。
実家の墓までは、飛行機を使っても片道3時間。
「正月かお盆のときくらいしか帰れず、地元に住む夫の姉に墓を管理してもらっていた。」
しかし、年を取ったら遠くまでは行けない。2人いる子どもはどちらも娘。
「この先、墓がほったらかしになってしまう恐れもある。自宅近くに移そう」と改葬を決意。
現在の墓は自宅から車で20分程度。「行こうと思えばいつでも行ける距離。移してよかった」とTさん夫妻。

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神戸市に住むプランナーのKさん(42歳)も改葬の準備を進めている。
一人っ子で、現在、独身。実家の墓は兵庫県内の都市にある。
「同居している両親が高齢になり、これから墓参りに行けるか心配。できれば自宅の近くに移したい」と。
市内の霊園の永代供養墓に移す計画で、現在、費用の見積もりをしている。
早ければ年内にも新しい墓に移す予定だ。
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改葬の件数は年々増加傾向に。
厚労省の「衛生行政報告例」によると、2015年度の改葬の届け出件数は約9万1500件で、5年前比で約30%増加。
無縁墓が改葬された例も約3600件に及ぶ。
都市部へ人が流出した後も残った人たちで墓を守ってきた地域で少子高齢化が進み、墓の維持が難しくなっている。
一方、都市で新たに墓を建てた人たちも、やはり少子化で承継者がいないケースが増えており、都市でも地方でも、放っておけば無縁墓が増えるのは避けられない。
こうして、地方から都市部へ先祖の墓を移す、または都市部でも承継を必要としない永代供養墓などに遺骨を移す改葬が増えている。
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改葬は大きく分けて以下の4つのタイプ。
1)遺骨と石碑をまるごと移動
2)遺骨だけを移動
3)たくさんある遺骨の一部だけを移動
4)骨つぼの中から遺骨の一部だけを移動
最も多いのは遺骨だけを移動するタイプで、改葬全体の約6割を占めるという。
墓の引っ越しは墓石を撤去して更地にし、管理者に返還する必要がある。
墓石の解体や更地にする費用以外にも、墓石の廃棄や移設などさまざまな費用がかかる。
遺骨を取り出すときや納骨する際の法要などでお布施が必要になる場合もある。
全体の改葬費用はどのくらいかかるのか。
メモリアルアートの大野屋のアンケートによると、新しい墓を建てた場合で平均費用は300万円になるという。

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簡単にできるのかな、と思いましたが、いろいろ規定・規制があるようです。
それらの諸手続きの原点になるのが、「墓地、埋葬等に関する法律」。
昭和23年の施行と随分古い法律で、これまで相当の回数改正が行われており、都度、附則が追加されています。
参考までに、附則部分は省略し、本則部分だけ、以下に転記しました。
改葬許可申請書、改葬許可書、埋蔵証明書などがなぜ必要かが分かるかと思います。
こうした自治体が絡む手続きの必要性は、やむを得ないかなと思います。
しかし、「魂入れ」や「建碑式」「納骨供養」などの儀式などにいたずらに費用をかける、あるいは要するというのはどうかな、という気がします。

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「墓地、埋葬等に関する法律」
(昭和二十三年五月三十一日法律第四十八号)
最終改正:平成二三年一二月一四日法律第一二二号
第一章 総則
第一条  この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。
第二条  この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。
 この法律で「火葬」とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう。
 この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、
若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。
 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。
 この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。
 この法律で「火葬場」とは、火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設をいう。

第二章 埋葬、火葬及び改葬
第三条  埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。
第四条  埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。
第五条  埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
 前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあつては死亡若しくは死産の届出を受理し、死亡の報告若しくは死産の通知を受け、又は船舶の船長から死亡若しくは死産に関する航海日誌の謄本の送付を受けた市町村長が、改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする。

第六条及び第七条  削除
第八条  市町村長が、第五条の規定により、埋葬、改葬又は火葬の許可を与えるときは、埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない。
第九条  死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
 前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。

第三章 墓地、納骨堂及び火葬場
第十条  墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
 前項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し、又は墓地、納骨堂若しくは火葬場を廃止しようとする者も、同様とする。
第十一条  都市計画事業として施行する墓地又は火葬場の新設、変更又は廃止については、都市計画法 (昭和四十三年法律第百号)第五十九条 の認可又は承認をもつて、前条の許可があつたものとみなす。
 土地区画整理法 (昭和二十九年法律第百十九号)の規定による土地区画整理事業又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 (昭和五十年法律第六十七号)の規定による住宅街区整備事業の施行により、墓地の新設、変更又は廃止を行う場合は、前項の規定に該当する場合を除き、事業計画の認可をもつて、前条の許可があつたものとみなす。
第十二条  墓地、納骨堂又は火葬場の経営者は、管理者を置き、管理者の本籍、住所及び氏名を、墓地、納骨堂又は火葬場所在地の市町村長に届け出なければならない。
第十三条  墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。
第十四条  墓地の管理者は、第八条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。
 納骨堂の管理者は、第八条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、焼骨を収蔵してはならない。
 火葬場の管理者は、第八条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、火葬を行つてはならない。
第十五条  墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、省令の定めるところにより、図面、帳簿又は書類等を備えなければならない。
 前項の管理者は、墓地使用者、焼骨収蔵委託者、火葬を求めた者その他死者に関係ある者の請求があつたときは、前項に規定する図面、帳簿又は書類等の閲覧を拒んではならない。
第十六条  墓地又は納骨堂の管理者は、埋葬許可証、火葬許可証又は改葬許可証を受理した日から、五箇年間これを保存しなければならない。
 火葬場の管理者が火葬を行つたときは、火葬許可証に、省令の定める事項を記入し、火葬を求めた者に返さなければならない。
第十七条  墓地又は火葬場の管理者は、毎月五日までに、その前月中の埋葬又は火葬の状況を、墓地又は火葬場所在地の市町村長に報告しなければならない。
第十八条  都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該職員に、火葬場に立ち入り、その施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は墓地、納骨堂若しくは火葬場の管理者から必要な報告を求めることができる。
 当該職員が前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、且つ関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第十九条  都道府県知事は、公衆衛生その他公共の福祉の見地から必要があると認めるときは、墓地、納骨堂若しくは火葬場の施設の整備改善、又はその全部若しくは一部の使用の制限若しくは禁止を命じ、又は第十条の規定による許可を取り消すことができる。

第四章 罰則
第二十条  左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
 第十条の規定に違反した者
 第十九条に規定する命令に違反した者
第二十一条  左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
 第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者
 第十八条の規定による当該職員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者
第二十二条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

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2017/3/21と翌3/22付日経夕刊での特集記事、『130万人のピリオド 今どきの弔い』
年間の死亡者数が130万人を超える時代。その最期とその後をどうするか、現状から考えるレポート。
前掲記事、「無縁墓化に備える改葬、広がる:年間死亡者数130万人時代のお墓の移転方法を知る」に続いて、
その2回目です。

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 家族がいても「無葬」 永代供養に求める縁
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 弔いがない「無葬」の時代が近づいている。
 葬式をして家の墓に入る普通の葬送が都会だけでなく地方でも減りつつある。
 貧困や孤立だけでなく家族関係の希薄化が影を落としている。
 葬儀をせずに火葬する「直葬」や一人で逝く「無縁死」が増え、遺骨がさまようことも。
 そうなる前に、生と死をつなぎ安心して死ねるよう永代供養に縁を求める動きも広がってきた。

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富山県高岡市は釣り鐘や仏具などの銅器づくりが盛んだ。
街の象徴は日本三大大仏にも数えられる高岡大仏。
仏教になじみ深いこの町に、日本で初めて無縁の遺骨を宅配便で受け付けて供養する「送骨」サービスを始めた寺がある。
約700の檀家を持つ古刹の大法寺が敷地内に永代供養する合葬墓を建てたのは2006年。
きっかけは、子どもが都心に出て墓の継承者がいない単身の檀家から相談を受けたこと。
ところが、無縁仏も引き受けたため全国から問い合わせが相次ぎ、身寄りのない遺骨を引き取ってほしいという自治体まで現れた。
本堂にはゆうパックで届いた遺骨3柱が供養を終えて置かれていた。
うち1つは行旅死亡人。行き倒れの人の骨だ。
行政の火葬許可証や生前の履歴書が添えられている。
遺骨からうかがえるのは、家族の絆の弱まりだ。
アパートの押し入れから骨つぼが2つ見つかり「引き取ってほしい」という大家からの依頼。
仲が悪かった父親の遺骨を「関わりたくない」と息子が放置し引き取ったこともある。
行き場のない骨の供養を続ける同寺の住職は「本当はこんな送骨システムに頼らずに血縁者が弔うべきだ」と。
その上で「先ず臨終のことを習うて、後に他事を習うべし」という日蓮上人の言葉を引きながら「死を考えることは、結局生を支えることになる。家族がいるのに孤立する例が増えている。そんな人も弔えるように我々は選択肢を提示している」。
同寺住職は11年に行政書士らと無縁仏の供養、納骨をする送骨システム(5万円)の対応をするNPO法人「道しるべの会」を立ち上げた。
単身高齢者の入院の身元引受人や財産管理など生前の生活から死後の支援まで手掛ける。
これまでに届いた遺骨は10の自治体の依頼を含め300を超える。
同寺の手法が模倣され、送骨を受け付ける寺院の一覧表を掲載したインターネットのサイトも登場した。

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現在約130万人の年間死亡者数は39年に167万人のピークを迎え、その後も160万人台が続く。鹿児島県の人口に近い数が毎年亡くなる計算だ。
京都市内にある実家の寺の副住職で『無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教』の著書もある編集者の鵜飼秀徳さんは「地縁・血縁が希薄になり寺の檀家制度が田舎でも崩壊しつつある。死を丁寧にみとる時代は過去のものになるかもしれない」と警鐘を鳴らす。
東京都港区の増上寺で2月、多死社会で変わる仏教と葬送について語る講演会があった。
登壇した解剖学者の養老孟司さんは、葬送が簡素化している根本的な背景について、「人間一人ひとりに対する思いが軽くなったのだと思う。自分の代わりがいくらでもいる。人の価値が減り、死が重くない社会になった」と話した。

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散骨や樹木葬など墓石を持たない永代供養が広がる中、新潟市角田浜にある、家ではなく個人の思いを大事にした新しい弔いの形として「理想の墓」と呼ばれている妙光寺。
宗派を問わず承継者を必要としない永代供養墓を全国に先駆け1989年に建てた。
「安穏廟(あんのんびょう)」と呼ぶ古墳型の美しい墓が日本海を望む境内に並ぶ。
個人で入る会員制の墓で1区画85万円の納骨室には10体まで、友人でも埋蔵できる。
年会費(3500円)が途絶えた後も13年間は個別埋葬を継続し、その後は古墳の中心に移して合同供養を継続する。
横浜市に住む92歳の双子の妹が会員になり、認知症で独身の姉が東京で亡くなった際に妙光寺まで遺体を運び納骨したこともあった。
最近は、過疎が進む佐渡島から妙光寺に改葬する例も増えている。
同寺住職が目指すのは寺を中心とした個人との信頼関係で、「人間関係が希薄になっても命の継承は大事。寺は教育の場であり地域の悩みを解決する場であるべきだ」と主張する。

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寺院も後継不足 死後の安全網どう築く
冠婚葬祭総合研究所によると、自分の葬儀は直葬でよいとする団塊の世代は半数を超える。
「親の葬式を経験し、子供には負担をかけまいとする人が多い」と。
葬儀やお墓は、子が親を思うのではなく親が子の負担をなくす形に変わってきた。
葬儀を行ってきた寺院も先行きは厳しい。
2040年までに現在の寺院の4割が過疎化や後継者不足で消滅するとの予測も。
世界の葬送文化の研究をしている聖徳大学の長江曜子教授は「死への不安を和らげて生きるためにも、安易な葬送の簡素化は避けるべき。家族が担えない場合は、持続可能なリサイクル型の公的墓地など、死後のセーフティーネットを築く時期にきている」と話す。

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死と生の捉え方。
死生観。
平和社会であるがゆえの、長寿社会であるがゆえの、死の重みの消失。
核家族化社会、単身世帯社会であるがゆえ、社会との関係の希薄化ゆえ、でも・・・。
逆説的ではありますが・・・。
死は無。
無に金と時間をかけるよりも、生あるものにそれらを使う方が合理的・・・。
ゆえに無になるまでに、金は有効・有益に使うことに意義がある・・・。
そう私は思います。
生をまっとうした後の無は、最低限・最小限の扱いでよい。
死後への対応は無用。
そう思う人が増えることが、社会の望ましい在り方を追求することの妨げには決してならないでしょうから・・・。
今と、これから生きる人たちの望ましい生のために、時間とコストを有効に活用してくれればよい。
無葬社会は、決して殺伐とした社会を意味するものではなく、むしろ未来志向の楽観的な社会の創造に向かわせる生活様式の一つの切り口。
今回のレポートは、そうした社会への、ひとつの道しるべを提示していると捉えたいと思います。

2017/6/17日経夕刊掲載の土井誠司記者による
「おひとり様 「終活」で安心 生前整理・孤独死保険」 と題したレポートからの抜粋を。
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「終活」の裾野が広がってきた。
として、種々の終活ビジネスを紹介しました。
1)遺品・生前整理サービスを展開する事業所リリーフ。
手掛ける片付けの件数は年間1500件で、
・亡くなった親の遺品整理を子どもが頼むケース に加え
・高齢のおひとり様の生前整理依頼 も増えつつあるといいます。
2)家族に代わって病気やケガをした時の支援や葬送代行など生前契約の老舗、NPO法人きずなの会。契約者は累計で1万人近く。
3)賃貸物件の家主向けの高齢入居者の孤独死保険
(例)ジック少額短期保険の「生活安心総合保険」における「孤立死原状回復費用」特約
4)デジタル終活セミナー
などを紹介しています。

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リリーフ社
1年間の片づけ受注件数が1500件、とうのはすごいですね。なるほど十分、ビジネスになる!
孤独死保険
ネーミングが怖いですが、やはりニーズがある。保険屋さんの面目躍如、という感じです。
私もそろそろ身の回りの不用品の整理を、と今年から開始。
まずは、不要図書。
第一弾は、段ボール7ケースほどやりました。今年中に、同量くらいの本を処分しようかと。
来年は、資料類と衣類の処分を重点的に。
70歳までに第一段階の身の回り品を終えて、75歳までに大型物品などほぼすべての不用品の整理を終える。
加えて、葬儀不要の旨と死後の処理方法などを書き残し、伝え、80歳までに、ほぼ必要な終活作業を終えておく。
まあ夫婦の健康状態の変化などで、状況は変わっていくでしょうが、それに応じて、終活も早める必要が生じるかもしれません。
特に、介護が必要となる前にほぼ終わらせておくことが肝要と思っています。

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少子高齢化や核家族化から、一般的な屋外の墓地に墓を持たない人が増え、石材業界では大型墓石の販売低迷が続いている。
2017/6/23付中日新聞が、室内に置ける小型の墓石を開発した滋賀県豊郷町の石材会社、浦部石材工業をレポート。
「室内用墓石、人気じわり 滋賀の石材会社開発」と題した記事の概要を紹介します。
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いつでも墓参り室内用墓石の商品名は「たくぼ(宅墓)」。
・高さ20cm、幅20cm、奥行き30cmほど。
・花こう岩を使い、重さは約10㎏。
・持ち運びができ、内部に骨つぼを収納でき、大きさを別にすれば、普通の墓と機能は何も変わらない。
「墓じまい」の依頼も増え、お墓についての多様化が進む中、「通販でも買える、ありそうでなかったお墓を」と考案。インテリアと見ることもできる。

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これはいいな! という感じです。
私もこれにしようかな・・・。
もう少しデザインのバリエーションがあってもいいのではと思います。
Amazonで販売してもいいんじゃないでしょうか。
そうすれば、一気に販売数量が伸びるかと・・・。
でも、マネしやすいですから、他のビジネスセンスのある石材店も、後発でも十分チャンスがあります。
デザイン会社が主体となり、3Dで別素材で製作・販売することも考えられる。
「宅墓」とは別のイメージを用いた、オリジナルのブランディングで・・・。
こうなると石材屋さんにマイナス。
先手必勝で、早く仕掛け、ブランドを確立する必要があります。
利用サイドとしては、従来のお墓や墓石という概念にこだわる必要はなく、供養などの生活慣習も変化していくでしょうから、利便性や価格についても、新しい提案があれば、受け入れる柔軟性があると思います。
一つの終活情報として、役に立つものでした。

毎年夏になると、お盆とのからみもあるのでしょうか、パブリシティを活用するユニークな葬儀サービスのユニクエスト・オンライン。
「「小さなお葬式」のユニクエスト・オンラインが5万5千円で永代供養サービス:終活お役立ち情報」 (2015/8/24)
「ユニクエストの海洋散骨サービス、じわり広がる海域:取扱いの多い海域ベスト10は?」 (2016/7/5)
と1年に1回の割合で、紹介してきました。
そして今年も。
今年は、2017/8/4、8/9と2回連続で日経MJが同社を取り上げました。
今回は、初めの方の「小さなお葬式」の方をユニクエスト社のHPを参考に紹介します。

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【僧侶無しなら葬式安く 仏具省き14万円台】
従来あった、13万3000円(お坊さん別料金)の最安プラン「小さな火葬式」よりも2割以上安い「小さなお別れ葬」を発売!
その説明には
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最近では、経済的な理由や無宗教でお坊さんを手配する予定がないといった理由で、簡素なお別れを希望される方が増えています。
しかし、通常のお葬式プランにはお坊さんが供養を行うために必要な仏具が含まれており、その分の物品費用がかかっていました。
「小さなお別れ葬」は、お別れに必要最低限なものだけを揃えているので、できる限り費用を抑えたお葬式ができ、経済的な負担を抑えることができます。

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とあります。
そこで、その説明サイトにあった、2つの葬式の比較表で、より詳しく見てみます。
なるほど、分かりやすいし、納得がいく。
私も無宗教なので、このお別れ葬レベルで十分。
(何もなしでもいいんですが・・・)で、ふと、このパッケージ?、全国どこでも利用できるのか・・・。
全国対応、低価格のシンプルな葬儀【小さなお葬式 で、全国3000式場可能とあり、提携式場の検索もできるようになっています。
但し、一部の地域では、別料金体系になるところもあるようです。

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それから、新発売の「小さなお別れ葬」を除いた「小さなお葬式」などの方には、500円払っておけば、ずーっと(1回だけですが)適用される<早割>がある!
500円掛け捨ての葬儀保険というわけです。
葬儀の種類と申し込み後の期間によって違いがありますが、従来あった有効期限が今回無期限になったとのこと。

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毎年夏になると、お盆とのからみもあるのでしょうか、パブリシティを活用するユニークな葬儀サービスのユニクエスト・オンライン。
◆「小さなお葬式」のユニクエスト・オンラインが5万5千円で永代供養サービス:終活お役立ち情報 (2015/8/24)
◆ユニクエストの海洋散骨サービス、じわり広がる海域:取扱いの多い海域ベスト10は? (2016/7/5)
と1年に1回の割合で、紹介してきました。
今年も、2017/8/4、8/9と2回連続で日経MJが同社を取り上げました。
初めの方の「小さなお別れ葬」の話題を、前回
「僧侶無し葬式「小さなお別れ葬」最安の14万円台。新潟市角田浜」で紹介。
今回は、後者で紹介された海洋散骨事業について同様ユニクエスト社のHPを参考に紹介します。
※但し、2024年11月現在では、海洋散骨事業者は、別社名で検索されます。

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【石垣島に海洋散骨 沖縄人気で追加】
今回の記事は、冒頭紹介した、2016/7/5のブログで取り上げた海洋散骨事業の続報。
一応順調に事業を伸ばしている報告も兼ねている感じです。
昨年のレポートでは、海洋散骨を行う場所は、14海域。
これに観光でも人気の沖縄・石垣島海域が加えられ15海域に。
沖縄の離島群。
イメージも高く、人気の観光地。
その中でも一番人気は、空港も新しい石垣島。
私の長男家族が、仕事で数年石垣島で生活していたので、何度も夫婦で行きました。

この海洋散骨サービスの正式名称は、「小さなお葬式の海洋散骨」。
「小さなお葬式」シリーズのラインアップの一つというわけです。
その手続き・手順は、
1.遺骨と必要な書類を「ゆうパック」で、同社が提携する散骨事業者に送る。
2.遺骨をパウダー状にしたうえで散骨業者のスタッフが指定海域に骨をまく。
3.後日、散骨の様子を撮影した写真や、散骨日時と場所が記された証明書とアルバムが届けられる。
というもの。
サービス価格は、どの海域でも同一価格で、5万5千円(税込)。
2013年7月から始めた海洋散骨サービス。
現在、依頼件数は、初年度に比べて3倍の404件に増えているとのこと。
付け加えますと、「小さなお葬式」の2016年度の取り扱い件数は、3万5千件。
15年度は約2万4千件と、昨年発表していますから、かなりの伸長率です。
自社はビジネスモデルを企画し、外部の葬儀社や業者と提携して、実業務は外部委託。
なかなかのものです。
※先述しましたが、現在(2024年)、ユニクエスト社では、小さなお葬式事業を主業としていますが、海洋散骨事業は行っていません。


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年間死亡者数が130万人超。
まさに多死社会・多死時代に入っています。
そこから自然発生した「終活」。
今は、脅迫観念さへ持たせるまでに成長?し、ビジネス化しています。

日経の【迫真】欄で、2017/8/21から『大終活時代』と題した特集を組みました。
そのシリーズの1回目は、◆『大終活時代(1)「子に迷惑かけたくない」 』
その記事を元に、前回、◆拡大する終活ビジネス市場、支える超高齢化社会と多死社会 を投稿しました。
シリーズ第2回は、2017/8/22掲載の◆『大終活時代(2)お骨だけの場所じゃない』
「樹木葬」を取り上げたその記事では、人気の東京都八王子市の「風の丘樹木葬墓地」を紹介しました。
もうひとつ、記事では、
ペットと埋葬が可能な大田区安祥寺の永代供養墓「久が原庭苑」を紹介しています。
「久が原庭苑」は、「花と眠る樹木葬」永代供養墓「久が原庭苑」と表現しています。

樹木葬とうたっていますが、風の丘樹木葬墓地よりも、通常の墓地のイメージが強いですね。
桜の花など、自然環境に恵まれていることを訴求しているように感じます。
費用も、風の丘よりも高い・・・。
記事での紹介の最後は、改葬と墓じまいについて。
大阪市の泉南メモリアルパークでは13年以降、お墓の返還数が新規申し込みを上回っていることを取り上げました。

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樹木葬への関心は、もう数年前から高くなってきています。
要するに、終活市場が、団塊の世代がの全員が前期高齢者期から後期高齢者期に雪崩れ込む状況にあるなか、今後数年で一気に開花し、実を結ぶ時期に入っていくわけです。
まあそうした機会に、家族・親子のコミュニケーションが行われ、その関係を見直す、再確認することになる。
それも良いのではと思います。
おひとり様はおひとり様として、真剣に考えることにも・・・。
季節の移り変わりと共に、人生のエンディングのあり方にも想いをいたすことになります。

2017年8月下旬に日経で特集された「大終活時代」で目についた内容をピックアップして紹介し、有益な「終活」に結び付けたいと思います。
今回は、前回の「拡大する終活ビジネス市場、支える超高齢化社会と多死社会」 の続編。
同特集の、第3回目の内容を、簡潔に紹介しました。一部前回と重複します。

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1.終活ワンストップ代行サービスを生前契約
NPO法人きずなの会

入院・施設入居の際の身元保証や手続きから死後の葬儀・納骨の手配、遺族・自治体への連絡までワンストップで代行する。会員数は高齢のおひとり様中心に約1万人。
2.終活弁護士、弁護士会「終活部会」も登場
遺言に財産の処分法を書いてもらい、執行人を引き受けるなど、終活者向け業務を扱う「終活弁護士」。
遺品の整理や遺体の引き取りにも応じ、ときには火葬場に出向き、散骨に立ち会う。費用は遺産の中から受け取る。
3.終活検定資格「終活カウンセラー」取得者が急増
終活ビジネスに役立つ検定資格「終活カウンセラー」。終活カウンセラー協会が主催。
11年から初級検定が260回以上実施され、既に1万4000人以上受験。
4.遺言代用信託、累計15万件の大ヒット!
信託銀行ではお金を死後、妻子に贈れる遺言代用信託が累計15万件とヒット。
5.孤独死保険、登場!
賃貸アパートでの孤独死で家主に与える損害を補償する「孤独死保険」も相次ぎ発売。

終活カウンセラー養成ビジネスと終活ビジネス業界の拡大

いやー、「終活カウンセラー」資格検定があることは知らなかったです!
終活カウンセラー協会のホームページから、資格についての解説、お借りしました。
受検・資格取得方法は、比較的、お手軽にできている、取得できるのが、ミソですね。

最近のセミナー等の実施スケジュールをここからチェックしてみると・・・。
大盛況!
この資格ビジネスがしっかりビジネスモデル化されています。
そして、その資格取得者が、終活市場のマーケッターとして活動を拡大する・・・。
拡大する介護市場の延長線上に、間違いなく存在する終活ビジネス市場。
こちらの方は、1人1回限りで手離れ?いいですから、介護よりも効率的なビジネス。
ひとりにとってはエンディングですが、社会的には、当分はエンドレス・・・。

まだまだこれから拡大・成長可能なマーケットであることは、間違いない!
なんと、終活カウンセラーを養成するインストラクターを養成する資格と講座までしっかり用意されています。
弁護士業務で「終活」という用語を用いることができるようになったこと。
事業的には、大いにメリットがあるでしょうね。

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年間の死亡者が130万人超となった多死社会時代。
繰り返しになりますが、2018年8月21日から、日経が【迫真】欄で特集した以下の『大終活時代』シリーズ。
◆『大終活時代(1)「子に迷惑かけたくない」 』(2017/8/21)
◆『大終活時代(2)お骨だけの場所じゃない』(2017/8/22)
『大終活時代(3) 「ワンストップで承ります」 』(2017/8/23)
『大終活時代(4)自治体も身じまい手助け』(2017/8/24)
その中から、先述以外の事項をいくつかをピックアップ。
シリーズ3回目で、終活ブームを示して取り上げたのが、以下の事例です。

新しいビジネスが示す、終活ブーム
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1)イオン開催の終活フェア
葬儀・墓の説明や遺影に使う写真の撮影、僧侶による悩み相談など多彩なメニューを用意。入棺体験もあり、関心を持つシニアに人気がある。イオンは、2009年に葬祭業に参入。終活フェアは、延べ300回以上を開催している。
2)キャンセル待ちのクラブツーリズムの終活体験ツアー
旅行大手のクラブツーリズムは霊園を巡ったり海洋散骨を体験したりするツアーを14年以降、約100回催行。参加者約2000人集めた。
3)終活支援NPO法人と契約
緊急時の入院手続きや死亡時の届け、葬儀の手配など、多様な支援を手掛けるNPO法人りすシステムと契約するなど、サービス事業も広がりを見せている。
4)「エンディング産業展2017」盛況!
8月23~25日、東京ビッグサイトで、葬祭業など終活関連の約300団体が参加し「エンディング産業展2017」が開催。
16年の来場者は2万人を大きく超え、今年は、孤独死者の埋葬問題に悩む自治体も参加。
その他、
5)遺骨を寺に郵送して葬ってもらう「送骨」
6)格安料金で僧侶を派遣する「お坊さん便」
など、従来にないサービスが、終活ビジネスとして誕生し、拡大している。

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エンディングを考える背景
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日経のモニター調査によると、60歳以上の31%が、終活経験を持つか準備中。その理由は
1)子どもらに負担をかけたくない(61%)
2)他人に迷惑をかけたくない(43%)
3)自分の人生にふさわしいエンディングを迎えたい(28%)

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今後の大きな成長産業と目される「終活ビジネス市場」。
その背景は、超高齢化社会と多死社会が同時進行すること、そこにおける高齢夫婦世帯、高齢単身世帯の増加など世帯構成の変化にあります。
ビジネス対象、顧客としてターゲットとなる高齢者。
意識・認識がしっかりしているうちにやっておかないと、後に残された人が大変。
同世代のみなさん、自己責任でしっかりエンディングのシナリオと方法・計画を立てて、受け継ぐ世代に喜ばれる「終活」に取り組んでおきたいですね。

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第4回、2017/8/24掲載の「大終活時代(4)自治体も身じまい手助け」も参考に。
まず既に2年前の以下の日経地方版記事でも取り上げていた、「ドライブスルー葬儀場」を紹介。
「ドライブスルー&アテンドスタイルホール」と名付けられたこのシステム。
ドライバーが自動受付機で氏名などを入力。
ドライバーも同乗者も、車に乗ったまま参列者の後ろにある焼香台で焼香を済ますことができる。
焼香の様子はカメラで撮影し、会場の遺影の横に置いたスクリーンに映し出され、誰が参列したかが分かる。
焼香を済ませたドライバーはゲートを開くボタンを押して退場する。
というものです。
その他、記事タイトルにあるよう、全国の自治体の終活支援の必要性とその取り組み状況などをレポート。
無縁遺骨の状況、斎場での友引火葬、ふるさと葬祭などについても紹介しています。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
終活とは、葬式や墓の用意、財産の整理、エンディングノート執筆など、終末や死後について自ら考え備えること。
少子高齢化と古くからの核家族化社会が、その意識を一層高めていることは間違いありません。
終活市場が多様化、拡大化している状況を、日経特集記事等から具体的に確認してきました。
終活は、超高齢化社会・多死社会という要素に、核家族化、高齢老夫婦世帯・高齢単身世帯化という要素が重なりあうことで、自分のために、家族のために、そして社会のために、当然行うべき課題、コトになりました。
自分の最期のあり方を自分で考え、備える。
あるべき形とは思いますが、果たしてそれがすべての高齢者が自らできるかどうか・・・。
恐らく、ムリと想定しておくべきでしょう。
ゆえに、国や自治体がそこに必要最小限関わる必要が生じる。
やはり介護と直接つながる課題であることも前提として、行政が道筋と方法とを提示し、推し進めていく必要があります。
もちろん、社会的存在としての人、自らの責任も最大限果たすよう努めるべきことは、言うまでもありません。

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2017/9/23付日経が「増える納骨堂 都市混乱 住宅地に「永遠のすみか」」というタイトルで掲載した記事。
年間の死亡者数が130万人を超えて多死社会化した日本。
そこからもたらされる都市部での墓地不足と地方での墓地の維持問題。
記事のテーマは、納骨堂をめぐる課題について。
・骨つぼに納めた遺骨をまとめて安置する納骨堂。
・墓地不足が顕著な首都圏など都市部では10年で約3割も増えた。
・しかし、建設計画に住民が反対したり、課税対象か否かの判断が自治体ごとに異なる
など、課題もある。
問題の一例は、納骨堂が建設されることで変わる一帯の住環境の変化と現実。
例えば、千葉県浦安市では、産婦人科医院の隣地に納骨堂が建設。
違和感が当然ありますね。

もうひとつの論点をピックアップしました。
それは、「墓地や納骨堂、火葬場の整備・経営は自治体の許可が要る」ことからの課題。
墓地の設置場所や構造設備に基準条例等の存在に対して、納骨堂についてはないといいます。
それが、住民とのトラブルにつながるもと、というわけです。
建設基準以外のもう一つ重要な法律上の問題。
そこから感じたことなどをメモしました。
まあ、例によって、レポートの最後の締めの部分が、少々時代がかっていますが・・・。
納骨堂は不動産業みたいなものですから、宗教法人であるがゆえに非課税というのはどうかなと疑問は感じます。
利用者サイドの負担には、消費税が含まれているでしょうし。
見解の相違というよりも、本来、宗教法人が得るメリットそのものを見直すべきと思うのですが。
赤坂浄苑については、2年前のこのブログでも紹介したことがあります。
「お盆を迎えるこの機に、お墓や葬送を考える:納骨堂・樹木葬など、形式と意識の変化」 (2015/7/16)

いずれにしても、自分のお墓は要らないと断言しても、かみさんのお墓はどうする?
と考えると、何かやはり考えておくべき。
とすると、家の中にミニお墓を持つか、納骨堂を利用するか、になりそう・・・。
無宗教なのですが、それなりに困ります。
住宅地への納骨堂の建設。
保育所や介護施設とは、ちょっと、というか、かなりというか、まったく性質が違うので、やはり、簡単に認めるべきではないかな、とは思います。



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2018/2/3付中日新聞に、
同紙が今年1月に行った、全国の政令指定都市と県庁所在地、中核市など79市と東京都を対象とした、公営墓地、無縁墓、改葬などに関するアンケート結果に基づくレポートが掲載されました。
無縁墓(むえんぼ)」とは、管理する縁故者がいなくなったお墓のこと。

「公営墓地7割に無縁墓 政令市など、対応基準なし」

と題したそのレポートを以下、整理簡略化して紹介します。

無縁墓の自治体状況

第一生命経済研究所の2009年実施調査では、回答者の54.4%が「自分の墓が将来的に無縁化する」と答えており、少子化や核家族化などを背景に無縁墓が増える可能性が高い。
今回の中日新聞調査で、公営墓地に「無縁墓がある」と答えたのは、73自治体の内、約7割の49自治体。
その実数を把握しているのは24自治体で、合計は1万6517基・区画。
「無縁墓がない」のは8自治体。
無縁墓の有無を「把握できていない」のは16自治体。
7自治体には、そもそも公営墓地自体がない。

改葬ニーズの拡がりと自治体の対応状況

管理料の支払いが長期間滞るなど無縁化した疑いのある墓について、各自治体は戸籍に基づき使用者の縁故者を調査し、必要があれば立て札や官報で公告。
1年以内に申し出が無ければ改葬手続きを進めることができる。
しかし、墓石の撤去費用に、1基数万~数十万円かかるという。
放置された墓石の撤去や墓内にあった遺骨を合葬墓などに移す「改葬(かいそう)」。
「改葬の実績がある」「現在進めている」のは、約4割の29自治体。
無縁墓改葬は「事務量、経費が多大になる」、「遺骨をどこに納めるのが適当か、考え方が整理できていない」、「いたずらに無縁と認定し、公費で撤去することは公平性の点で問題がある」などの意見があり、対応もマチマチであった。
厚生労働省生活衛生課は「墓地行政は自治体に広く裁量を認めている。地域住民の感情などに応じて柔軟に対応するのが望ましく、法令などで一律に縛るのは難しい」と自治体に丸投げのスタンスである。

終活段階に入るべき、後期高齢者世代に向かう団塊の世代

中日新聞は、超少子高齢化社会、高齢夫婦・高齢単身世帯の増加により、既に起き始めている埋葬・お墓問題をこのところ強く取り上げています。
婚活、妊活、保活。
結婚、夫婦、親子、家族、独身。
その連続した人生の先にある、だれもが平等?にその機会をもち、避けることができない、老活、介活、終活。

今月68歳を迎えアラセブ生活に入り、そして2025年問題と揶揄される全団塊世代が後期高齢者化終了年代にひた走る?これからの時期。
来月生まれる7人目の孫。
彼らの世代とその親世代のこれからの人生を、並走する時期に沿いつつ想い、そして自分の生き方を実践し、終活に臨み、エンディングに備える。
今日は、彼岸の日。

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2018/2/28付中日新聞に、「公営樹木葬、住民以外にも 長久手市、受け入れ拡大へ」と題した記事が掲載。
なんと、3年前の同紙に、この長久手市の樹木葬墓地についての記事が載ったんです。
その紹介をした記事が、
「樹木葬の公営墓地、愛知県長久手市に!:樹木葬とは」 (2015/3/16)⇒ ※前回の番外編ー1に入っています。
実は、これは、当時PVページビュー、アクセスが多かった記事。
樹木葬への関心の高さを示していますが、この長久手の樹木葬がその後どうなっているかを知るうえで貴重なニュースです。
その内容を整理して以下紹介します。

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愛知県長久手市営墓地・卯塚墓園は2015年度に開設され、広さ1.2ヘクタール。
「招霊の木」とされる常緑のオガタマノキを墓石の代わりに植え、周囲の芝生に遺骨を合葬している。
敷地全体の埋葬可能人数は千体。
市は年度ごとに定員を決めて市民を対象に募集を始め、初年度は100体に対して約600人が応募。
今年1月末現在で生前予約を含めて562体分を販売し、61体が既に埋葬されている。
人口約5万7千人の同市は、6割以上を生産年齢(15歳以上、65歳未満)が占め、高齢化が他ほど進んでいない。
隣接する名古屋市、愛知県日進市に加え、長野県や滋賀県など県外からも問い合わせが多く、その需要に応えて墓園管理条例を改正した。
合葬式の樹木葬のほか、芝生の敷地に家族単位で埋葬する墓地もある。
改正条例では、どの墓地についても市外から希望者を募り、樹木葬の場合、市外在住者は同市市民よりも5万円高い一体20万円で永代使用を受け付ける。
埋葬料は市内外の在住を問わず、一律1万800円。
芝生墓所の永代使用は市民が一区画100万円、市外在住者は120万円。
市議会で可決されれば芝生墓所は18年度から50基程度、樹木葬は19年度以降にも募集を開始。
市外在住者が先祖などの墓を撤去する「墓じまい」をした場合も、取り出した遺骨の埋葬を受け付ける。
樹木葬は墓石の管理がいらず、管理費用がかからない。
永代管理を自治体が担うため、墓の継承に不安を抱える人、死後に墓のお守りをしてくれる人がいない人からの問い合わせが多い。

樹木葬とは

自然葬の一種。
霊園など墓地として法律で認められた場所で、墓石ではなく樹木の周りに遺骨を埋葬する方法が一般的。
核家族化などで墓を守ることが困難な人が増え、需要が高まっている。
-------------------------

終活必須課題の「お墓をどうするか問題」。
70歳になったら、具体的に終活スケジュールを立てて、ぼちぼち取り組もうかと思っていますが、私はお墓はいらない主義。
なんとか管理費・維持費負担が、次世代に行かぬように、と思っています。
樹木葬程度ならば、いいかな、とも思いますが、負担がゼロというわけではないので、完璧な方法とは思っていません。
でも、イメージ的に「樹木葬」というのは、良いですね。
長久手市は、名古屋市のベッドタウンとしても人気が高く、記事にあるように世代も比較的若い層が多いのが特徴。
トヨタ博物館もあり、イケアも出店している、発展途上の地域と言えます。
名古屋市内に住む三男家族が、長久手のイオンモールによく行っていて、昨年は私たち夫婦も、孫の顔を見に、イオンモールで待ち合わせしたものです。
その街に樹木葬墓苑がある・・・。
地域外の方にも公開するとなると、かなりの申込者が出るのでは、と思います。
長い目で見た時に、いずれ市民用を数多く確保しておくべきでは、と思うのですが、多分拡張の余地があるんでしょうね。
長久手市、頑張ってほしいですね。

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65歳以上独居高齢者592万人(2015年)。2035年高齢世帯の4分の1762万人に。
こうした予測もあって、終活で最も関心が高い<お墓>をどうするかが高齢者自身とその家族にとどまらず、地域・自治体の重い課題になっています。
2018/9/22付日経では、「「墓じまい」肯定6割 居住地近くに改葬など」と題して、時事通信社の最近の「墓じまい」に関する世論調査結果をもとにお墓の継承や改葬についてレポートしていました。
継承者がいないお墓、遠方にあるお墓の管理の困難さから、お墓の移転・撤去もやむを得ない。
その意識が広がっていることも已むをえないと考えます。

身元分かっても、親族いても「無縁仏」

遡りますが、2018/5/2付同紙で「親族いるのに無縁仏核家族化・独居増が背景 自治体、お墓生前登録も」
と題して、関連する問題の中から「無縁仏」について取り上げていました。
自宅で孤独死し、身元が分かっているのに遺骨の引き取り手がなく「無縁仏」として扱われるケースが増えている、
というもの。
親族とはいっても日常まったくといっていいほど繋がりがなければ、対応に困るというのも分かります。
独居高齢者の増加で「無縁仏」も・・・。
そのため公費負担の増加が予想される自治体では、「墓の生前登録」など可能な対策を検討し始めている・・・。

その例になりますが、先行して、2018/4/17付中日新聞夕刊で「無縁仏防げ、墓の所在地を生前登録 横須賀市」
と題して、神奈川県横須賀市の無縁仏対策をレポートしていました。
その取り組みを簡単に紹介すると・・・。
 同市は既に2015年、低所得者などを対象に葬儀や埋葬の契約を生前に交わす「エンディングプラン・サポート事業」を開始しており、これまでに約300件の相談を受けている。
加えて今年2015年5月に、全市民を対象に、自分の墓の所在地等を生前登録する「わたしの終活登録」を開始。
本人の死後、市が病院や警察などに登録内容を開示し埋葬される。
ということです。

お墓無用の「海洋散骨」人気とその後

墓じまいは、お墓のあり方の変化と同時に、葬儀のあり方の変化とも繋がります。
当サイトでもこれまで、樹木葬、海洋散骨なども取り上げてきましたが、最近注目されているのが、島根県沖合にある、国内唯一の「散骨島」として知られる隠岐諸島の中の一つ「カズラ島」。
そのレポートが、2018/9/25付日経で
「海に浮かぶ現代の墓標「墓はいらない」望みかなう隠岐の散骨島 「彼岸との距離」映す」
と題して掲載されました。
しかし、その散骨も、一時のピークは越して、人気に陰りがあるとのことです。
同日同紙で「「自然にかえる」近年頭打ち」
として、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」の散骨件数が、2007年度189件をピークに、17年度は123件に減少し、一時1万人以上いた会員も6千人以下に。
一部の悪質業者によるトラブルの多発もあり、条例で散骨を規制する自治体も現れたとあります。

老老介護家族に必要なダブル終活

仏教徒ではないのに戒名を付けたり、仏式の葬儀を行ったり・・・。
それが日常における「しきたり」といえば「しきたり」ですが、ハロウィンが保育所の年間行事の一つに加わったりなど、どうにも日本人のある意味節操のなさは、不思議の国・日本が映し出す風景のひとつひとつになっています。

私自身の葬儀やお墓は要らない、とかみさんには伝えていますが、では骨はどうするのか・・・。
仮にかみさんが先に逝ってしまったら、葬式なしで果たしていいか、お墓なしでいいのか・・・。
現状、結論は出せていません。
自分の親のお墓は、故郷にありますが、ほとんど墓参に帰省することもないのが現状です。
今、サ高住で暮らしている今月97歳になる義母が亡くなったら・・・。
葬儀はどうするか妻と話をして決めましたが、お墓・遺骨はどうするかは、未定です。

老老介護を余儀なくされている団塊世代を初めとする各世代は、親と自分自身の葬儀・お墓をどうするかなど、「ダブル終活」を行う必要があります。
場合によっては、逆縁で、子の方が親よりも先に逝ってしまう可能性も。
とすると、生きている親に、子どもが先に逝ってしまった場合、墓や葬式をどうするかを伝えておく必要さえある・・・。
なんとも悩ましい時代ではあります。

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随分欲張って数多く旧い記事を持ち出しました。
この年に日経が終活に入れ込んだ?最大の理由。
それは、1947年~1949年生まれという団塊の世代が、2017年から70歳代に入り始めたため。
そう考えています。
そして、この介護と終活を主要テーマとするサイト、https://kaigoshukatsu.com 介護終活.com を開設した今年2024年(度)は、団塊世代の全員が、後期高齢者入りする年。
この間の始まりから現在を確認することが一つの区切りですが、実際必要になり、実践が課題となり、実行力を問われるのが、これからということになるわけです。

次回、「望ましい高齢生活を送るための終活8ステップ」シリーズの総括を行う上で、今回の2回の番外編は、有益だったと思います。
終活が、ある意味根付いた時代であり、社会である21世紀の第2四半期にまもなく入ります。
次世代にどのように、種々の社会システムを引き継ぎ、改善・改革を進めていくか。
死を考えることは、次世代の生を考えることと繋がっている。
そういう認識で、「介護」も「終活」もテーマにしていきます。


前回の番外編ー1に戻ります。
⇒ 10年以上の歴史がある樹木葬と海洋散骨|終活ビジネスの変遷を振り返る【番外編ー1】

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当時参考に読んだ終活関連書の一部を、以下に挙げました。
樋口恵子氏・大熊由紀子氏・井上治代氏・会田薫子氏共著
☆☆☆☆『老い方上手』(2014年12月22日刊・WAVE出版)
島田裕巳氏著
☆☆☆『葬式は、要らない』(2010年1月30日刊・幻冬舎新書)
☆☆☆『もう親を捨てるしかない 介護・葬式・遺産は、要らない』(2016年5月30日刊・幻冬舎新書)
☆☆☆『0葬 あっさり死ぬ』(2014年1月29日刊・集英社)
山岡淳一郎氏著
☆☆☆『長生きしても報われない社会 在宅医療・介護の真実』(2016年9月10日刊・ちくま新書)

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