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第4ステップ 生前整理、断捨離と遺言書の作成:4-1 生前整理と断捨離の実践
生前整理と断捨離の実践ガイド | 生前整理で老後はシンプルライフ!家族に優しい準備も
高齢化社会の進行に伴い、生前整理や断捨離が終活の一環として重要視されています。
これらは、単に持ち物を整理することだけでなく、自分の意思や希望を家族に伝えることも含まれます。
財産の整理、負債の管理、契約の見直しなども行うことで、将来のトラブルを未然に防ぐとともに、安心して暮らせる老後人生とその環境を整えることができます。
本記事では、生前整理や断捨離の具体的な方法、財産や負債の管理、さらには関連する制度や注意点について解説します。
1.生前整理の意義とタイミング
生前整理は、自分が元気なうちに持ち物や財産を整理することで、家族への負担を軽減することを目的としています。
1)生前整理と遺品整理の違い
生前整理は自分の意思で計画的に行うものであり、死後に家族が行う遺品整理とは異なります。
遺品整理は残された家族が行う作業であり、遺族に精神的負担、時間的負担が大きくかかってくることがあります。
そのため、生前にできる限り整理しておくことで、家族の負担を軽減することが可能になります。
2)整理を始めるタイミングと準備方法
生前整理は、早めに取りかかるのが理想です。
60代から70代にかけて計画的に、あるいは、この時と思われるときに集中的に行うとよいでしょう。
家のリフォームや引っ越しなど、大きなライフイベントがあれば、その機会に始めるのもよいでしょう。
まずは、物の種類ごとにリストを作成し、「残すもの」「譲るもの」「処分するもの」に分けます。
家族と相談しながら進めると、スムーズな整理になりますが、一部対象となるものについては、個人の思い入れもあるでしょうから、ケーズバイケースですね。
3)すべての財産を記録するのが難しい場合の対応
すべての財産をエンディングノートに記録することが難しい場合は、重要な情報だけを記載し、詳細は別のファイルやリストにまとめておく方法もあります。
むしろこの方法でまず整理してから、実際の管理・保管方法を考え、物件・案件ごとに対策対応を記述していくことが現実的と思います。
このリストは、安全な場所に保管し、家族に伝えておくことが大切です。特に、不動産や金融資産などの情報は、詳細な記録が必要です。
2.断捨離の具体的な実践方法
断捨離は、物理的・物質的な片付けだけでなく、精神的な整理も目的としており、重要な意味合いを持っています。
1)断捨離とは何か?
「断捨離」は、不要なものを手放し、必要なものだけを残すという考え方です。
それらの「もの」には、思い出や種々の感情・感傷を伴うことも多く、併せてそうした心の整理も行っていくことも含まれるでしょうか。
2000年代に広まり、今では多くの人が取り入れています。
物を整理することで心もスッキリし、生活がシンプルになり、また新たな一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
2)具体的な断捨離の進め方
断捨離は、「1年以上使っていないものは手放す」「思い出の品は写真に撮って保管する」など、自分なりのルールを設けて進めていくことをお薦めします。
最初はクローゼット・押し入れ・タンス等の整理から始め、衣類も季節ごとに整理し、必要に応じ処分していきます。
次に、書類や小物を整理し、最後に大型家具や家電を見直します。特に思い出の品は、感情に左右されやすいため、慎重に判断します。
まあ、こうした手順は、こうでなければいけないというものではありませんから、着手しやすいものから、あるいは、反対になかなか手につかないものから先にやってしまう、という選択もあると思います。
3)買取専門店の活用と注意点
最近増えている買取専門店を活用することで、不用品を現金化できます。
TVのCMで見る頻度も随分増えていますし、新聞の折り込みチラシも毎日のように見ます。
ショッピングモールには必ずといってよいほど出店していますし、路面店の数も随分増えました。
若い層の利用ばかりでなく、高齢化の急速な進展で、こうした終活の一環として「物」の整理・処分方法として、これからまだまだ利用頻度は高まっていくと思います。
買取対象には、衣類、家電、家具、骨董品などがありますが、事前に相場を調べ、比較しておくのも良いでしょう。
高価な品物は複数の店舗で査定を受けることで、より良い価格で売却できます。
また、詐欺やトラブルを避けるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
3.財産・不動産・負債整理と諸契約の注意点
財産や負債を整理することは、終活において重要な要素の一つです。
1)財産の種類と管理方法
財産には、現預金、不動産、株式、保険などがあります。
エンディングノートに記載する際は、全ての詳細を記載するのが理想ですが、難しい場合は、主要な情報だけを記録し、残りは別に財産リスト・財産目録等として作成し、保管します。
不動産は、土地、建物、賃貸物件などがあり、それぞれの権利関係を明確にする必要があります。
資産を管理する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。
2)リバースモーゲージの活用法
リバースモーゲージは、自宅を担保に資金を借りる仕組みで、主に高齢者向けに提供されています。
メリットは、老後の資金に困ったときに、自宅を手放さずに現金を得られることです。
しかし、地価の下落などにより借入額が制限されるリスクもあり、十分な検討が必要です。
また、家族との事前の話し合いも大切です。
3)負債の種類と管理方法
財産・資産にばかり目が向きがちですが、むしろ「負債」「借金」の有無、ある場合はその内容・条件などを記述し、確実に、事前に家族に分かるようにしておくことも欠かせません。
財産・資産はないけれど、負債・借金だけはしっかりあった、などと泣くに泣けない事例も多々あります。
負債には住宅ローン、借金、クレジットカードの未払いなどがあります。
負債を整理するには、リスト化して管理し、返済計画を立てます。借金が多い場合は、専門家に相談し、債務整理の方法を検討することも考えましょう。
小額の負債でも放置せず、家族と共有しておくことが重要です。
できることなら生前に、借金・負債はなくしておくべきと思いますが、子世代と一緒に住むための住宅ローンの借主名義が親の方というケースもあり、事前に適切な措置を行っておくことは可能です。
4)契約の見直しと解約方法
契約には、保険契約、サブスクリプション契約、賃貸契約、各種ローンなどがあります。
契約内容を見直し、不要な契約は解約することで無駄な出費を防ぎます。
契約書類は一箇所にまとめて保管し、家族に場所を伝えておきましょう。
解約手続きを行う際は、解約手数料などの条件も確認することが必要です。
契約と一言で対応方法を簡単に済ませてしまいましたが、実際には、対象となる案件ごとに異質の契約内容であるため、個別に対策・対応を準備しておく必要があります。
例えば、インターネット関連や動画・音楽配信サービス関連でのサブスク契約は、実際の書面が手元にはないケースがほとんどで、家族を含め第三者は、何もわからないというケースの方が多いかもしれません。
いわゆるデジタル終活の領域の課題ですが、次回、触れる予定です。
まとめ
生前整理や断捨離を行うことで、生活をシンプルにし、家族への配慮も強化できます。
財産や負債の整理は、終活の一環として重要な準備であり、計画的に進めることで、トラブルを防ぎ、安心した老後を送ることができます。
なかなか着手することをためらいがちな終活課題ですが、残される家族・遺族にとっては、ある意味、最も関心が高く?、後々トラブルの原因になるものですから、残す人生を楽しく、心おきなく楽しみ、過ごすためにも、できれば早めに取り組んでおくのがよいのではと思います。
「老後のシンプルライフ」、推奨します!
次回は、デジタル終活について取り上げ、デジタル資産の管理と処分方法について整理します。
【シリーズ「望ましい高齢者生活を送るための終活8ステップ」構成】
序 「望ましい高齢者生活を送るための終活8ステップ」シリーズ、始めます
第1ステップ 終活の基本の理解と心構え
1-1 終活の基本と目的
1.終活とは何か?基本概念と目的、必要性
2.終活を始めるタイミングと適切な年齢
3.老後の生活設計と終活準備の重要性
1-2 具体的な終活の進め方
1.終活の8ステップ:計画から実施までの具体的ガイド
2.終活の優先順位:重要な項目の把握と管理
3.終活の手順:具体的な方法と必要なリスト
1-3 終活を成功させるための心構え
1.終活のメリット・デメリットと保険・信託等のリスク管理
2.生活の充実とリスク回避対策
3.終活に伴う不安やトラブル回避の具体策
第2ステップ エンディングノート・終活ノートの作成方法と活用法
2-1 エンディングノートの作成法
1.エンディングノートとは?
2.記載すべき項目・内容と書き方、作成法
3.ノート作成を進めるための実践的なアプローチ
2-2 エンディングノート作成のための基本情報の収集と活用法
1.終活及びエンディングノート作成のための基本情報と収集法
2.エンディングノートの活用・保管方法と家族への共有
2-3 終活における専門家の活用
1.法律関係の専門家の役割と活用
2.後見人制度の活用と具体的な進め方
3.終活コンサルタント、終活アドバイザー等の活用法
第3ステップ 老後の生活設計と医療・介護の備え
3-1 老後の生活を安心化する資金計画
1.老後の資金計画ー1:年金の活用法|年金受給の仕組みと配偶者死亡時の遺族年金
2.老後の資金計画ー2:就労収入と保有資産の把握・運用、生命保険の活用
3.老後の資金計画ー3:資産運用の方法とリスク管理
4.老後の資金計画ー4:相続税対策と非課税贈与のメリット相続税対策と非課税投資のメリット
3-2 必ず必要になる介護の備え
1.介護保険制度と介護サービスの基礎知識
2.介護施設の種類と選び方
3.介護にかかる費用と資金計画
4.リスク管理と介護に備えた資金計画
3-3 医療の備えと健康寿命対策
1.老後の医療保険制度とその活用法
2.入院準備と医療費負担の対策
3.在宅医療と介護サービスの連携
4.延命治療と臓器移植についての意思表示
5.健康記録、認知症対策と健康寿命を延ばす日常生活
3-4 老後の生活設計と日常活動
1.老後の生活費用と必要な準備項目
2.老後を充実させる趣味や活動
3.成年後見制度と任意後見契約の活用法
4.老後の生活設計とエンディングノートへの記入
第4ステップ 生前整理、断捨離と遺言書の作成
4-1 生前整理と断捨離の実践
1.生前整理の意義とタイミング
2.断捨離の具体的な実践方法
3.財産・不動産・負債整理と諸契約の注意点
4-2 必須となったデジタル終活
1.デジタルデータ・機器の整理・管理と処分
2.オンラインサービスの契約解消の注意点
3.デジタル遺品の整理・相続の方法と対策
4.支援がない場合におけるデジタル遺産処理の課題と解決策
4-3 遺言書を理解し、有効に作成・活用する
1.エンディングノートとの違いと遺言書のメリット
2.遺言書の種類と作成手順
3.遺言執行者の選定とその役割
4.遺言書の保管方法と見直しのポイント
第5ステップ 財産と相続の整理
5-1 財産管理の基本知識
1.財産の整理と管理方法:資産運用と不動産管理
2.生前贈与と資産信託の方法
3.資産贈与・寄付と税制優遇のメリット
5-2 相続対策の基本
1.相続の基本:相続人と相続税の仕組み
2.相続税対策と非課税のポイント
3.専門家による相続アドバイスの活用法
5-3 遺言書と遺産相続の準備
1.遺言書の種類と作成方法
2.遺産相続の流れと必要な手続き
3.遺言執行や相続トラブル対策
5-4 トラブル回避と老後の安心
1.トラブルとリスク回避の対策
2.委任契約や後見人制度の活用
3.財産契約と信託の法的効力とリスク管理
第6ステップ 葬儀と埋葬の準備
6-1 葬儀の準備
1.葬儀の基本知識と種類・形式
2.葬儀社の選び方と契約・手続きのポイント
3.葬儀前後の手続きと対応方法
6-2 お墓対策、埋葬準備と供養の選択
1.お墓の整理・処分・対策の必要性と方法
2.お墓と墓地の選び方
3.埋葬・供養の方法と対策
6-3 遺品整理と死後の対応
1.死後の準備と手続き
2.遺品整理のステップと方法
3.家族・遺族の負担軽減と準備・手配
第7ステップ 家族とのコミュニケーション
7-1 家族のための終活準備
1.家族と一緒に進める終活の方法
2.遺言書やエンディングノートの共有
3.家族への負担を軽減する終活のポイント
7-2 老後のライフプランと家族の役割
1.家族信託と遺産相続の対策
2.老後のライフプランと家族の役割
3.希望する介護・医療・葬儀の準備
第8ステップ おひとりさまの終活
8-1 おひとりさま生活の備え
1.おひとりさま生活のための準備と日常管理
2.身辺整理と断捨離の具体的な方法
3.ネットワーク構築、任意後見契約と信頼できる第三者の選び方
8-2 おひとりさまの終活課題と対策
1.おひとりさまの終活課題と優先順位
2.葬儀とお金の準備
3.死後事務手続きの方法とリスク管理
総括 シリーズ「望ましい老後を送るための8つの終活ステップ」補足とまとめ
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