
終活における専門家の活用|「望ましい高齢生活を送るための終活8ステップ」ー7
第2ステップ エンディングノート・終活ノートの作成方法と活用法:2-3 終活における専門家の活用
今回は、第2ステップの3回目最終回として、終活において関係する機会が多い、弁護士・税理士・司法書士その他関連する専門家について整理してみます。
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終活における専門家の活用 | 弁護士・税理士・後見人制度で安心の終活準備
終活は、個人で進めるだけではなく、さまざまな専門家の助言やサポートを受けることで、円滑に進めることができます。
法律や税務に関するトラブルを未然に防ぐためには、弁護士や税理士などの専門家の助力が欠かせません。
また、判断能力が低下した際に備えて後見人制度を利用することや、終活コンサルタントのサポートを受けることで、家族の負担を軽減し安心した老後生活が実現します。
本記事では、各専門家の具体的な役割やサービス内容について詳しく解説します。
1.法律関係の専門家の役割と活用
1)弁護士の役割と具体的な活用法
<必要になる場面>
・遺言書の作成とトラブル防止
・遺産分割協議の調整
・相続トラブルの解決(調停・訴訟)
・成年後見契約のサポート
<具体的な対処法と進め方>
弁護士は、遺言書の作成において、法的に有効な形式を確保し、後のトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。
家庭裁判所での相続争いに備え、家族全員が納得する形で遺産分割協議を進めるサポートも行います。
また、遺言執行者として指名され、遺産分割の実行を担当することもあります。
後見契約においては、信頼できる後見人選任を支援し、適切な契約内容を作成します。
<依頼の流れ>
・弁護士との初回相談を予約します。
・遺産や資産状況を共有し、課題を確認します。
・必要に応じて遺言書や後見契約を公証役場で作成します。
2)税理士の役割と具体的なサポート内容
<必要になる場面>
・相続税申告と節税対策
・生前贈与の計画
・財産管理と非課税枠の活用
<具体的な対処法と進め方>
税理士は、相続税の申告書類を作成し、申告期限までに税務署へ提出します。
さらに、非課税枠の活用や生前贈与を通じて、相続税の負担を減らすプランを提案します。
税理士が関与することで、家族は税務面での不安を軽減し、正確な申告を行えます。
3)司法書士の役割と登記の代行
<必要になる場面>
・不動産の名義変更や登記手続き
・遺言書の執行
・成年後見制度の申請
<具体的な対処法と進め方>
司法書士は、不動産の相続登記を代行し、スムーズな名義変更を実現します。
また、遺言書に基づく遺産分割の手続きを進め、家庭裁判所への後見申請も担当します。

2.後見人制度の活用と具体的な進め方
1)任意後見人とは
任意後見人とは、本人が健康で判断能力があるうちに、自らの判断で信頼できる人物と後見契約を結び、将来判断能力が低下した際に、その人物が本人の生活や財産を支援するための制度です。
法定後見制度とは異なり、任意後見人は本人が自由に選ぶことができ、公証役場での契約を通じて効力が発生します。
この制度の大きな特徴は、あらかじめ希望する支援内容や権限の範囲を契約で明確に決めておける点です。
任意後見契約は、家庭裁判所の監督のもと、本人が必要な支援を受けつつも、可能な限り自立した生活を維持することを目的としています。
2)任意後見人制度の概要と必要な場合
<必要になる場面>
・認知症や重病に備えたい場合:将来、判断能力が低下した際に、財産管理や医療方針の決定を支援します。
・財産や生活の管理が複雑な場合:複数の不動産や金融資産を所有する場合に、専門的な管理が必要になります。
・独居や家族の支援が期待できない場合:一人暮らしの高齢者や頼れる家族がいない場合、信頼できる後見人がサポートすることが安心につながります。
3)手配と選定の方法
・公証役場での契約締結:公証役場で公正証書として契約を作成します。契約が結ばれた後、本人の判断能力が低下した時点で家庭裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人が選任されます。
・候補者の選定:信頼できる家族、友人、弁護士などを候補に選びます。
・契約内容の決定:財産管理、医療決定、生活支援など、必要な支援内容を明確に契約書に盛り込みます。
4)任意後見人が提供するサポート内容
・生活支援:生活費の管理や支払い、必要な買い物を代行します。
・医療・介護の契約支援:介護サービスの選定、医療機関との契約手続きを支援・代行します。
・財産管理:不動産や預貯金の管理、必要な投資や売却の手配を支援・代行します。
・緊急時の対応:入院や介護施設への入居手続き、緊急時の判断を行います。
後見人制度の活用は、判断能力の低下が予測される高齢者にとって、生活の安心感を支える重要な手段です。
特に、任意後見制度では、本人が自由に後見人を選び、希望する支援内容を契約で定めることができるため、老後の生活設計において非常に有効です。
信頼できる後見人を選定し、必要な手続きを早めに進めることで、将来の不安を大幅に軽減できます。

3.終活コンサルタント、終活アドバイザー等の活用法
1)資格制度と管理機関
終活コンサルタントや終活アドバイザーは、一般社団法人終活協議会や終活カウンセラー協会などの認定資格を取得した専門家です。
資格取得には終活関連の講座受講と試験合格が求められます。
2)提供するサービスとサポート内容
どちらの専門家においても、ほぼ以下の支援業務を担います。
・エンディングノートの作成を支援します。
・葬儀や供養プランの提案を行います。
・財産管理と相続準備のアドバイスを行います。
3)費用の目安
主宰する事業体により費用は異なりますが、概ね以下が参考になると思います。
・初回相談料:5,000円~10,000円
・継続サポート:月額3万円前後
・プランに応じた一括契約も可能
詳しくは、先述した2つの事業団体のホームページで確認頂けますが、後日当サイトでも紹介したいと考えています。
国家資格・公的資格ではなく、民間事業団体が設定し、運営管理する資格制度であることを理解した上で、必要な支援サービスを十分理解した上で、有効に活用することをお薦めします。
まとめ
終活を効果的に進めるためには、各分野の専門家の力を活用することが不可欠です。
弁護士、税理士、司法書士は、法的なトラブルを未然に防ぎ、円滑な財産管理や相続を支援します。
後見人制度は、判断能力が低下した際の生活支援を提供し、安心感をもたらします。
また、終活コンサルタントやアドバイザーは、エンディングノートの作成から財産整理まで広範なサポートを提供します。
これらの専門家に相談し、サポートを受けることで、家族の負担を軽減し、終活を円滑に進めることができます。
信頼できる専門家を見つけ、必要なサポートを受けることが、安心した老後生活の実現に繋がります。
これで第2ステップ「エンディングノート・終活ノートの作成方法と活用法」は終了です。
次回からは第3ステップ「高齢者の生活設計と医療・介護の備え」に進みます。
次のステップでは、老後の資金計画や医療保険、介護サービスの選び方について具体的に解説し、計画的な準備を整えるための方法を紹介します。
※ 前回の記事は、こちらで:エンディングノート作成に必要な情報の収集と共有方法 | 家族と安心の終活
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