
終活のメリット・デメリットとは|「望ましい高齢生活を送るための終活8ステップ」ー4
第1ステップ 終活の基本の理解と心構え:1-3 終活を成功させるための心構え
第1ステップの3回目、<終活を成功させるための心構え>が今回のテーマです。
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終活を成功させるための心構え|メリットと不安対策を解説
終活にいつ取り組むかは、絶対的にいつと決めることはできないですし、人それぞれ、必要と感じたときがその時と思います。
しかし、高齢生活においては、それまでとは異なり、いつどのようなことが起きるか分からないというリスクが増えていくため、やはり早くから取り掛かることが、さまざまな問題・課題に備えることができ、お薦めしたいものです。
そうしたひとそれぞれの終活であっても、取り組むことについてメリット、デメリット両面があります。
当然、その終活を進めていくうえで、さまざま不安を感じたり、リスクが起こりうる可能性を感じたりすることもあるでしょう。
それらについて、今回考えてみます。
1.終活のメリット・デメリット
終活を始める上で、ポジティブな効果と潜在的な課題を両面から理解することは非常に重要です。
終活を計画的に進めることで老後の安心感を得られますが、一方で時間や手間がかかる負担も伴います。
この項では、終活のメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説し、実際の進め方を考える上での参考とします。
1)終活のメリット
終活を進めることで、自身や家族の生活を整え、老後の安心を得られます。この項では、終活の主な利点を紹介し、その意義を深く理解します。
・精神的な安心感とこれからの人生の充実
終活は、老後の暮らしを見通し、心の準備を整えることに繋がります。介護や医療の選択肢を事前に決め、相続や葬儀に関する希望を明確にしておくことで、不安を軽減し、充実した日々を過ごす土台を作れます。「どう過ごしたいか」を具体化することで、無計画に迎えるよりも生活に前向きな変化が生まれます。
・家族への負担軽減
終活は、家族に対する大きな助けとなります。エンディングノートや遺言書を用いることで、医療や介護の判断を家族に委ねる必要がなくなり、精神的な負担が軽減されます。また、事前に遺品整理や財産管理を済ませておくことで、残された家族が遺産相続や葬儀準備で混乱するリスクを避けられます。
・相続と介護準備の効率化
終活は、財産の管理や介護準備を効率化するための絶好の機会です。事前に専門家の助言を受けることで、相続税や贈与税の対策を講じ、無駄な税負担を回避することが可能です。また、介護施設の選定を早めに行うことで、急な状況変化に対応しやすくなります。
・生活の見直しと新たな目標設定
終活は、生活習慣を見直し、趣味や社会活動を新たに見つける契機にもなります。新たな目標を設定することで、日々の生活に充実感をもたらし、これからの人生を前向きに生きる力が生まれます。

2)終活のデメリット
終活には多くの利点がありますが、同時に精神的・経済的な負担も伴います。
ここでは、終活における主な課題を理解し、準備を進める上での注意点を考えます。
・精神的なプレッシャーと不安
自分の終末について考えることは、特に最初は精神的な負担となることがあります。これからの人生の終わりを想像することに抵抗感を覚えたり、不安を感じることも少なくありません。特に家族の意見や感情と調整する必要がある場合、プレッシャーを感じることもあります。
・時間と手間の負担
終活には、資産整理、書類の準備、専門家との連携など、多くの時間と手間がかかります。特に、複数の不動産や資産を所有している場合、その整理には多くの労力を要します。また、遺言書やエンディングノートを作成するプロセスも、一度で終わるものではなく、定期的な更新が必要です。
・家族との意見の相違
終活の進め方において、家族との意見が合わないこともあります。特に相続や葬儀に関する考え方に違いがある場合、家族間で摩擦が生じることがあります。事前に十分な話し合いができていない場合、終活がかえって家族間のトラブルを引き起こすことも考えられます。
・専門家費用と経済的負担
弁護士、税理士、終活アドバイザーなどの専門家を利用する場合、その費用が家計に負担を与える可能性があります。特に長期にわたって複数の専門家を利用する場合、費用負担が膨らむリスクがあります。
終活は、自分の希望を実現し、家族への負担を軽減するために非常に有効な手段です。しかし、その一方で時間や手間、家族との調整、費用などの課題も伴います。こうしたメリットとデメリットを十分に理解した上で、自分に合った計画を立て、無理なく進めることが重要です。
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2.終活に伴う不安・リスク管理とトラブル回避対策
多くの人が終活に取り組む際、不安や種々のリスクがあることに直面します。
ここでは、一部前項と重複しますが、終活に関する典型的な不安要素とリスク要素を挙げ、それぞれの解消策とトラブル回避策を考えてみます。
1)不安要素とその解消方法
終活を進める際の不安を軽減することは、精神的な負担を減らし、計画の実行をスムーズにするために不可欠です。本項では、代表的な不安要素とその解消策を説明します。
・不安要素1:自分の意志が伝わらない
自分が望む医療や介護、葬儀の形が家族に伝わらない懸念が、不安の大きな要因です。
このため、エンディングノートや遺言書に詳細を記載し、家族と定期的に内容を共有することが重要です。
手段・方法はさまざまですが、要するに、家族や親族、あるいは種々依頼する信頼できる人とのコミュニケーションを常日頃から心がけ、実践することが欠かせません。
簡単そうで、意外とできない、やらないのが家族とのコミュニケーション、という側面がありますので。
・不安要素2:相続トラブルの懸念
遺産分割において家族間で争いが起こることを心配する方も多いです。
これを避けるためには、早い段階で相談したり、遺言書を作成するなど、専門家の助言を得ることが有効です。
・不安要素3:介護準備、入院など医療対策の不足
突然の介護が必要になった場合、対応に追われて家族が困惑することがあります。
介護保険制度や施設選びの知識を事前に身につけておくことで、不安を減らせます。
また万一ケガや病気で入院する必要が生じたときにどうするかが考えておらず、また家族に受診や入院など医療保険などに関する情報伝達や対策が用意されていない場合も大きな不安要素です。
事前の準備や対策について、記録し、家族など協力を得る人に伝えておくことで、安心できる準備となります。
2)リスク管理とトラブル回避策
終活の進行中や完了後に発生する可能性のあるリスクを事前に管理することで、トラブルを回避できます。本項では、代表的なリスクとその対策を紹介します。
リスク1:資産や財産管理の不備
資産の整理や把握が不十分な場合、相続時に混乱を招くリスクがあります。
財産目録を作成し、信頼できる第三者や専門家に管理を依頼することでリスクを最小化できます。
リスク2:家族間の意見の不一致
終活を進める中で、相続に限らず、お墓や葬儀、介護や医療問題も含め、家族の意見が合わないことが多々あります。
このような場合、事前に家族全員が集まる機会を設け、意見を調整することが有効です。
全員が集まることが難しい場合も多く、個別に行いながら調整していくこともあるでしょう。
必要に応じて第三者を交えることでも、対立を防げます。
リスク3:法的・税務上のトラブル
前述のリスク1,リスク2に書いた事項を含め、法律や税制の知識が不足していると、後々トラブルになるリスクがあります。
弁護士や税理士、行政書士など専門家の助言を受け、適切な対策を講じることが必要です。
また、任意後見契約を活用することで、法的なトラブルを未然に防げます。
まとめ
不安要素とリスクを事前に認識し、適切な解消策と対策を講じることが、終活を成功させる鍵です。
家族や専門家と連携しながら、計画的に進めることで、安心した老後を実現できます。
しかし、現実として、家族間関係が当初から、あるいは終活を進める中で、うまくいっていない、円滑に連携や協調・合意できないことも十分ありうるわけで、それも想定内のことと認識して終活を進めるべき方々もおおいのでは思います。
こうした問題も含め、多種多様な不安解消やリスク対策については、最後にリスト化してある当シリーズの8ステップにおいて、順次個別に取り上げることになっていますので、都度、一部繰り返しになりますが、確認していって頂きたいと思います。
以上で、第1ステップを終わります。
次回からは第1ステップを受けて、「第2ステップ エンディングノート・終活ノートの作成方法と活用法」を取り上げます。ノートの作成手順や家族との共有方法について、さらに深掘りします。

※ 前回の記事は、こちらで:終活の基本理解と心構え | 8ステップで始める安心の計画
※ 次の記事は、こちらへ:エンディングノートの作成方法と記載内容の完全ガイド | スムーズな終活をサポート
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