シリーズ「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」の総括を行うべく最終章の総括を進めていましたが、
「介護離職」という用語が入った手元にある2冊の書を、シリーズとの比較対比を兼ねて、補論として紹介することにしました。
その書は、以下の記事の中で紹介したものでもあります。
今回は、その1冊目和氣美枝氏著『介護離職しない、させない』をまず取り上げます。
もう1冊樋口恵子著『その介護離職、おまちなさい』は、次回紹介します。
和氣美枝氏著『介護離職しない、させない』から
初めに、同書の目次を参考までに以下掲載しました。
参考:【和氣美枝氏著『介護離職しない、させない』(毎日新聞出版・2016年5月30日刊)目次】
[序に代えて]今、介護離職が止まらない!
第1章 私はこうして介護離職をしてしまった!
・「職場に迷惑をかけたくない」と辞めたAさん
・介護だけに向き合うことがかえって辛かった
・介護と自分の人生を両立させた
・「私が辞めると丸く収まる」空気を感じたBさん
・亀裂が入った姉との関係を新しい命がつなぐ
・目に見えぬ空気が介護離職を誘発する
・同時多発介護で「自分のことは後回しになった」Cさん
・入退院を繰り返す家族に翻弄された8年
・介護で疲弊した心身のリハビリが欠かせない
・「仕事をしていない罪悪感」を感じたDさん
・自分は社会から置き去りに。閉塞感と孤独が襲う
・365日施設に通い、顔を見て、手を握る
・介護者が笑うと、要介護者も一緒に笑います
第2章 介護離職が生み出すゆがみと厳しい現実
・介護が必要な人は75歳以上で3割を超す
・1年間で10万人が介護離職をしている
・介護が始まったら仕事を辞めるしかないの?
・介護者の不幸は選択肢が見えなくなること
・介護離職をするとこんなに負担が増えてしまう
・介護離職後の再就職が予想以上に厳しい
・大きな悲劇を生み出す介護離職の危険
第3章 介護離職をしない知恵と工夫があります
・介護者は誰からも守ってもらえない
・「『カミングアウト』で仕事が続けられるように」
・社内プレゼンで介護者を明言。同僚の相談役にも
・「会社に報告をする」ことが仕事との両立では大切
・「介護者の会に参加できて、救われました」
・介護者仲間をつくることもぜひやってほしい
・「会で2時間泣き続け、それで安心できました」
・身体介護は極力やらないほうがいい
「飲みに行く息抜きがあったから続きました」
・自分に課せられた仕事はきっちりこなす
・ストレスを定期的に発散することを習慣にする
第4章 働く介護者は4つの環境に囲まれている
・要介護者のことを意識せずに働ける環境をつくる
・Iさんの場合「親族みんなで介護を分担する」
・出しゃばらずに、「全員参加」の環境を整える
・家族がどこまで介護するかを決める
・Jさんの場合「介護しやすい環境を求めて転職」
・介護は情報戦。情報という「道具」を使いこなす
・Kさんの場合「やり手の奥さんをしっかりサポート」
・私の場合「行政と地域の始原をフル活用する」
・「知らぬは損」にならないために
・母のご近所コミュニティーにおんぶに抱っこ
・地域と関わることで、介護がラクになる
・Lさんの場合「勤務に合わせサービスを組み立てる」
・勤務スタイルに合わせて、介護もデキる!
・仕事がデキる人は、介護もデキる!
・介護は気力、体力、時間、そしてお金がかかる
・介護のコストにはメリハリが大事です
・Nさんの場合「遠距離をスキルとITで乗り切る」
・介護者の役割は介護環境のマネジメント
・和氣家のケアプランを大公開!
・要望や不安を伝えて心地よい介護環境をつくろう!
第5章 介護離職ゼロを実現するための働く環境づくり
・「隠れ介護」をなくせる空気を作ってほしい
・経営者と管理職が介護離職を止めるキーマン
・介護をしながら働く社員をきちんと把握する
・カミングアウトできる空気はこうしてつくられる
・両立支援の継続的な情報発信も欠かせない
・部下や同僚から「家族介護」を相談されたら?
・介護で突然辞められるほうが会社も困惑する
・介護に専念することを支援するのではない
・社内にいる介護者の経験と知恵を価値に変える
第6章 介護はあなたの人生の「新しいイベント」なのです
・介護はたくさんのことを与えてくれます
・介護を通じて、介護者も成長していく
・自分と向き合うきっかけをくれた介護
・介護が始まったら、自分の人生を最優先に考える
・仕事と介護の両立キーワードは「MIC]
・介護をしないという選択肢もあります
[特別付録]いざというときに役立つ「介護の初動マニュアル」
[おわりに]あなたの経験が誰かのためになる
和氣美枝氏著『介護離職しない、させない』は、介護離職を考えるための入門書
それでは先ず、上記の構成からなる同書から読み解くことができる要点を要約します。
1.『介護離職しない、させない』の要約・要点
和氣美枝氏の『介護離職しない、させない』(毎日新聞出版・2016年5月30日発行)は、介護離職の問題に直面する人々や、介護と仕事を両立したい人々に向けて書かれた実践的なガイドです。
著者自身の介護離職経験をもとに、離職を避けるための知識、知恵、そして実践的なアドバイスを提供しています。
本書の核心は、介護離職を防ぐための工夫や知恵を紹介し、介護を理由に仕事を辞めなくても良い方法を探ることにあります。
介護が必要な状況に直面すると、特に働き盛りの世代は仕事と介護の両立が難しくなり、最終的に離職を選ばざるを得ないケースが多いことを問題視しています。
しかし、和氣氏はそのような状況に対して「離職は最善の選択ではない」とし、以下のポイントを強調しています。
1)介護離職の現実と負担
介護離職による経済的・心理的な負担は非常に大きく、収入の減少や社会からの孤立感、再就職の難しさなど、離職がもたらすデメリットを明らかにしています。
2)介護と仕事の両立のための知恵
仕事を続けながら介護を行うためには、会社や家族のサポートを得ることが不可欠です。
特に、会社に対して介護の状況を報告する「カミングアウト」の重要性や、同僚や上司の理解を得る方法についても具体的にアドバイスしています。
また、介護者同士のネットワークを作ることで、情報や精神的サポートを共有することの価値を説いています。
3)企業側の支援策の重要性
企業もまた、従業員が介護離職に追い込まれないようにするために、サポート体制を整える必要があります。
企業内に「カミングアウト」しやすい空気を作り、介護休暇制度を効果的に活用できる環境を作ることが求められています。
4)介護は人生の成長の一部
著者は、介護をただの負担として捉えるのではなく、人生の新しいイベントや成長の機会として捉えることを推奨しています。
介護を通して得られる新しい視点や学びがあり、自己成長にも繋がるという前向きなメッセージを発信しています。
本書は、介護者だけでなく、企業や管理職にも参考になる内容が多く含まれており、介護離職を防ぐために多角的な視点から問題に取り組んでいます。
次にもう一つ参考までに、和氣美枝氏のプロフィールを以下に。
(参考):【和氣美枝氏(1971年生)プロフィール】
マンションディベロッパー勤務の32歳時、母親がうつ病、ついでアルツハイマー型認知症を発症。
それまですべてを母親に任せっ切りだったが、母親の介護の必要性から「介護離職」。
離職後、経済的、精神的、肉体的な負担が増えることを体験し、働きながら介護をする大切さ・大変さを痛感。
両立のための情報が一元的に入手しにくいこと等から、働きながら介護をする人たちの情報交換・発信の場として、
・2013年から「働く介護者おひとり様介護ミーティング」主宰
・2014年7月:ワーク&ケアバランス研究所設立(主宰)
・2016年1月:一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)設立(代表理事)
を立ち上げ、「働く」と「介護」両立の啓蒙活動を展開。
(2016年5月時点で介護歴は13年目)
(以下は、Amazon同書掲載ページから)
未来の働く介護者の支援を中心に、人事部へ介護施策コンサルティングや介護中の方の介護相談対応など
「働く」と「介護」のワンストップサービスを提供。
・「介護者支援システム」:働く介護者のためのコミュニケーションサロン「ケアラーズ・コンシェル」https://carers-concier.net/
・「NoMore介護離職」:ワーク&ケアバランス研究所 http://wcb-labo.com/
・「介護をしながら働くことが当たり前の社会をつくる」:
一般社団法人介護離職防止対策促進機構 http://www.kaigorishoku.or.jp/
※以上、Amazon.co.jp: 介護離職しない、させない : 和氣 美枝: 本 から
※和氣美枝氏著『介護離職しない、させない』は、こちらからお求め頂けます。⇒ https://amzn.to/3XfzR2V
2.Amazon掲載内容から
ここでは、Amazonの同書掲載ページから、同書推奨文と同署に対する書評を紹介します。
(参照)⇒ Amazon.co.jp: 介護離職しない、させない : 和氣 美枝: 本
1)Amazon掲載同書推奨文
同書の表紙の帯には、
「親子共倒れ、人材消失を防ぐ知恵とスキル!!仕事と介護を両立している「働く介護者」の声を集めた書」
とあります。
ここでは、同書を掲載しているAmazonのページにある紹介文を以下に転載しました。
働き盛りの40代50代が、親や兄弟の介護によって仕事を辞めてしまう現象「介護離職」。
新聞やテレビなどが昨年あたりから盛んに取り上げ始め、ようやく今、大きな社会問題であることが認知されつつある。
一度離職をしてしまうと、その後収入が10分の1くらいになったり、社会復帰ができなくなる人も多く、雇用している側にとってもベテランがいなくなってしまうのは大きな損失だ。
最近では、「介護男子」も増えており、特に未婚の男性と母親が共倒れとなるケースが目立っている。
誰しもが突然遭遇する可能性のある社会問題を、様々な事例を盛り込みながら、介護をする家族の視点から離職しないための情報収集や態勢作り、人間関係の築き方など、心の持ち様などに触れ、介護をしながらこれまでの生活をできるだけ手放さない方策を伝える一冊。
2)Amazon掲載同書カスタマーレビューから
今度は、Amazonの同書掲載ページにあったカスタマーレビューの中からいくつか以下に引用します。
①「自分の人生を介護で台無しにしない為に必読の本!」(2017年2月24日レビュー)
私が母の看護で離職したのは20代後半でした。
午前中は母のリハビリをしてから午後短時間の派遣の仕事という生活。
それがまさか20年以上もガッツリ介護で自分の家庭や子供が持てない人生の幕開けとは思いもよりませんでした。
母の看護で離職する前に読みたかったです。そしたら人生もっと楽しく、豊かに生きれたでしょうに…。
介護というと重く暗いイメージで避けられがちな話題ですが、自分の人生を駄目にしないためにも必読の書と思います。
②「不安が軽くなった。」(2018年1月4日レビュー)
将来、母の介護が必要になるかもしれないので購入しました。
働く人が介護するという観点で書かれていて良かったです。
他の介護本も読んだことがありますが「地域包括センターに相談に行く」と書いてあるだけで、そんなの平日働いてたら仕事を休まないと行けないし病院の手続きとかケアマネさんとの打ち合わせも平日昼間だろうし、普通に働いていたらムリなことばかりでした。
この本はそういう不安を少し軽くしてくれました(全てではないです)。
③「すごく良いです」(2017年4月14日レビュー)
本の内容はすごくいいです
著者が介護体験を赤裸々に、描いてるところ、とくに実の母をSATUIGAIしそうになるまで(どこまでやっちゃったかまで)追い詰められたと、普通のひとなら体面もあって表ざたにしないことまで述べているところに感服しました
この本の体験談に出てくる介護者は著者も含めてほぼバリキャリ
介護費用も潤沢にある人も少なくない
そんなひとたちが介護に苦悩し力尽き果てかけるのですから、そうでない私たちは・・・と自分を省みるいいきっかけになります
介護は要介護の人たちのサービスであって私たちのものじゃない
自分の身は自分で守らなければいけない
そのヒントがこの本には描かれています
④「介護中の人、これから可能性のある人におすすめです。」(2016年6月7日レビュー)
私はまだ介護は始まっていませんが、独り暮らしの親が歳をとりつつあり、他人事ではありません。
とは言え実際に起こっていないので、あまり深く考えたことがありませんでした。
考えたくないと言うのが正解かもしれません。
この本を読んで、「介護は初動が大切」だと言うことがよく分かりました。
もしその兆候が見られたら、何を準備し、どこに行けば良いのかも、自分にはどんな選択肢があるのかも分かりました。
介護が始まったら家族が何もかもするしかないのだと勘違いしていましたがそうでは無いし、仕事を続ける方法も有り、むしろ続けなければダメだというとこと分かりました。
でもそれらの環境は待っていても手に入らず、自分から取りに行くものなのですね。
知らないと損をすることが介護においてはとても多いということがよく分かりました。
「介護は情報戦」という著者の言葉にハッとさせられました。
どうもありがとうございます。
すべて、同書が出版されて数年内の書評ですが、さまざまな人たちに読まれ、それぞれの立場での感想や思いが書かれています。
3.『介護離職しない、させない』と「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」の違いと活かし方
最後に、『介護離職しない、させない』と当シリーズの違いをその特徴を確認しながら考え、それぞれの活かし方にも思いを寄せてみることにします。
1)『介護離職しない、させない』の特徴と介護休業法拡充の背景との関係
上記の目次および下記の構成と当シリーズの構成との違いは一目瞭然です。
同書は、著者の介護離職経験から、相当の行動力で、プロフィールで紹介したように、介護と仕事を両立させるための活動、その基盤としての組織化のための活動、そしてそれを支えるための企業に対する働きかけを、短期間で実践したことの記録の意味も持っています。
それだけに、実際の経験に基づく話、事例を数多く用いているのが大きな特徴です。
その事例紹介は、企業・職場の介護離職に対する考え方の変化を求めている証であり、その後の筆者の企業向けコンサルティングの基盤となっていることを示しています。
1995年に介護休業制度が導入され、2009年の改正では、非正規雇用者も一定条件下で休業取得が可能になるとともに、短時間勤務制度も法定化され、育児と仕事の両立を支援する施策が強化されました。
また、2016年改正で、育児休業期間の延長や介護休業の分割取得が可能となりました。
この年の5月に同書が発刊されており、ちょうど、企業の介護休業法順守義務が強化され、企業サイドの社員の介護離職を防止すべきという意識が広がっていく時期に重なります。
そして、2021年のパパ育休(出生時育児休業)が導入改正を経て、今年2024年5月の改正法で、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化策として、複数の努力義務などが盛り込まれました。
こうした状況もあって、同書が、現在厚労省も好んで用いている「介護ゼロ」という表現も用い、職場や企業の努力を求め、仕事と介護の両立という視点を方針としていることが十分理解できるでしょう。
なお、介護休業法に関する記事を以下で確認して頂けます。
『介護離職しない、させない』構成
序に代えて 今、介護離職が止まらない!
第1章 私はこうして介護離職をしてしまった!
第2章 介護離職が生み出すゆがみと厳しい現実
第3章 介護離職をしない知恵と工夫があります
第4章 働く介護者は4つの環境に囲まれている
第5章 介護離職ゼロを実現するための働く環境づくり
第6章 介護はあなたの人生の「新しいイベント」なのです
特別付録 いざというときに役立つ「介護の初動マニュアル」
おわりに あなたの経験が誰かのためになる
2)『介護離職しないための8ステップ+1と実践法』の『介護離職しない、させない』との違い
以下の構成の当シリーズを、上記の本書の目次・構成と比較すれば、違いは一目瞭然と思います。
前者では、介護の基本となる介護保険法と介護保険制度、介護サービスの内容、制度の運用主体である自治体などを極力体系的に見ていくことを方針としており、それを特徴としています。
介護離職を防ぐ上で、そうした基礎的な知識・情報を理解し、防止対策に活用することが重要と考えているからであり、それが実際に介護をしなければならなくなった時に役に立つと考える故です。
同書が「介護離職しない」と「介護離職させない」という2つのテーマを持っていることから、「させない」企業サイドの視点を重視していることが、両者の立ち位置の違いの一端を示していると思います。
その違いを理解頂き、同書を読んで頂ければと思います。
「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」シリーズ構成
1章 介護離職とは?その現状と原因
1-1:介護離職の定義と現状
1-2:介護離職の主な原因と影響
1-3:増加を続ける介護離職の背景と対策
2章 介護保険制度、保険外制度の活用と介護離職防止
2-1:介護保険制度の基本情報と手続き
2-2:要介護度認定と介護サービスの違い
2-3:在宅看護と介護保険外サービスの活用法
2-4:介護にかかる費用と負担軽減の方法
2-5:介護サービスの具体的内容と費用計算の基本
3章 介護施設・在宅介護の選択肢と介護離職防止
3-1: 介護施設の種類と特徴、選び方のポイント
3-2: 介護専門職の役割と選び方、関係つくり
3-3: 在宅介護のメリットとデメリット
3-4: 自宅介護と施設介護の併用方法と費用見積り
3-5: 介護の場所・方法の選択と介護離職防止対策
4章 自治体と地域の支援制度を理解し活用する
4-1: 自治体の介護関連支援制度と担当部署
4-2: 自身の自治体の介護支援制度と活用方法調べ
4-3: 地域包括支援センターの役割と利用方法
4-4: 介護制度を利用するための地域情報の事前調査と対策
5章 仕事と介護の両立を支援する制度を理解し活用する
5-1: 育児・介護休業法とその基本ポイント
5-2: 介護休業制度と介護休業給付金の活用法
5-3: 介護休暇と短時間勤務制度の特徴と利用方法
5-4: 職場の理解とサポートの重要性
6章 企業による介護離職防止策の取り組みと活用
6-1: 企業が提供する介護支援策とその実際の運用
6-2: 職場環境の整備と労働時間の柔軟な設定
7章 家族との介護協力と介護離職防止対策
7-1: 家族間の協力とコミュニケーション、役割分担とメンタルケア
7-2: 介護休業と介護休暇の適切な活用法
7-3: ケアプランとデイサービスの利用と介護分担方法
7-4: 他に家族がいない場合の適切な対応方法
8章 介護離職防止を想定しての介護の事前準備・計画と相談
8-1: 介護に必要な情報収集と地域包括支援センター、相談サービスの利用法
8-2: 介護体制の整備・見直しと緊急時対策
8-3: 介護方法の基礎知識・技術の理解と必須習得事項
9章 万一の介護離職後の再就職・転職とキャリア構築
9-1: 介護離職の経験とその影響を振り返る
9-2: 介護離職後の再就職活動 – 成功に向けたアプローチと実践的アドバイス
終章 シリーズ総括
3)いざという時に役立つ「介護の初動マニュアル」(『介護離職しない、させない』から)
参考までに、同書の特別付録として挿入されている「介護の初動マニュアル」の項目のみ、転載させて頂きました。
本文の方で提示できていなかった重要で具体的な基礎的情報として確認頂き、その詳細は同書でお読み頂ければと思います。
「介護の初動マニュアル」要約
・介護の準備は2つだけ:①介護保険、介護サービスの概要または存在を知っておく ②相談相手を知っておく
・介護保険、介護サービスの概要を知っておく
・相談先を知っておこう:①自治体の高齢福祉課等 ②地域包括支援センター ③ケアマネジャー
④介護者支援団体、介護者の会等 ⑤介護経験者 ⑥会社の人事部や総務部、ダイバーシティ推進室等
・介護って、どうやって始まるの?:①病院から始まる ②家族の申請から始まる ③通報から始まる
・介護が始まったら、どうしたらいいの?:まず「地域包括支援センター」へ行く
・選択肢は必ず2つ以上もらいましょう:「地域包括支援センター」でのことです
・不安・困っていることを列挙する:「地域包括支援センター」への相談についてです
・そして最後に、会社への報告を忘れずに
初動の前に必要なことも書いてありますから、注意が必要ですね。
この初動マニュアルの要点について、基本的・基礎的な内容や手続き、活用法などを何とか体系的に提示していこうというのが、『介護離職しないための8ステップ+1と実践法』の目的であり、意図でした。
4)『介護離職しない、させない』の活かし方
仕事と介護の両立という視点での書であることが特徴の一つとしましたが、もう一つの大きな特徴は、介護の事例が多くを占めていることと感じています。
そういう点で、読みやすく、分かりやすい書となっていると思います。
しかし、『介護離職しないための8ステップ+1と実践法』では、ほとんどそうした介護事例、介護離職事例の紹介はほとんどありません。
そのため同書は、「介護離職をしない」ための入門書であり、心がけるための書として有効・有益と考えます。
加えて、和氣美枝さんの積極的な活動とその内容について知っておくことも、そこからの広がりも想像・想定すると役に立つことが多いのではと思います。
是非一読いただければと思います。
※和氣美枝氏著『介護離職しない、させない』は、こちらからお求め頂けます。⇒ https://amzn.to/3XfzR2V
次回、もう1冊、介護離職をテーマとした書、樋口恵子著『その介護離職、おまちなさい』を紹介します。
補足:当シリーズおよび当サイトの原点としての介護体験
なお、和氣さんのように介護離職の経験はありませんが、当サイトを運営し、このシリーズを展開してきた筆者は、義母の介護を体験してきています。
このWEBサイトを開設した原点が、そのサ高住と特養における介護体験、および、看取り体験にあるのです。
そこから始め、次の段階でシリーズ化したのが、『介護離職しないための8ステップ+1と実践法』というわけです。
その体験記は、以下でお読み頂けますので、関心をお持ち頂けましたら、宜しくお願いします。
『93歳義母介護体験記<第1フェーズ:サービス付き高齢者住宅(サ高住)介護期>シリーズ記事リスト』
1.義母の骨折・入院から始まった老々介護を考える日々(2015/2/21)
2.地域包括ケア、地域連携診療という仕組みを知る(2015/2/22)
3.リハビリテーション病院への転院により回復期医療へ(2015/2/25)
4.自宅介護準備と介護施設検討の矛盾を抱えて(2015/3/1)
5.介護施設検索から資料取り寄せと見学体験(2015/3/5)
6.介護保険被保険者になり、老老介護有資格者に!?(2015/3/7)
7.要介護認定と老人介護被保険者証の交付を受ける(2015/3/8)
8.介護拒絶する要介護家族と介護者のすれ違い(2015/3/12)
9.介護支援専門員さんのサポートと介護施設入居日決定(2015/3/13)
10.介護施設入所説得とサービス付き高齢者住宅入居準備(2015/3/21)
11.サービス付き高齢者住宅入居と入居時会議、そして入居後の心配事(2015/3/25)
12.介護施設での居宅サービス計画と介護サービス内容、費用(2015/3/26)
13.訪問介護計画変更、通所拒否あり。義母、サ高住入居1ヶ月介護生活メモ(2015/4/24)
14.ケアマネジャー退職・交替とサ高住経営の変化。そして大晦日・新年へ(2015/12/31)
『98歳義母介護体験記<第2フェーズ:特別養護老人ホーム(特養)介護期>シリーズ記事リスト』
1.98歳義母が、サ高住から特養に移りました(2020/5/2)
2.要介護1から要介護4への区分変更で5年間生活のサ高住退所へ(2020/7/6)
3.特養入所決定後のサ高住生活状況と退所まで(2020/7/7)
4.93歳から98歳まで、義母の5年間のサ高住生活総括 (2020/7/8)
5.新型コロナウィルス感染症危機開始期異常事態での98歳義母の特養入所決定から入所まで (2020/7/9)
6.コロナ禍、緊急事態宣言下における面会禁止など特養入所3ヶ月の生活状況 (2020/7/10)
7.義母2020年入居特養と2015年入所サ高住との必要費用比較 (2020/7/11)
8.サ高住・特養利用体験から考える望ましい介護システム (2020/7/12)
9.特養入所の99歳義母、月末救急外来、月初予約なし再診外来へ (2021/2/1)
10.義母、特養で100歳の誕生日を祝って頂く|人生100年時代を体現した義母 (2021/10/15)
11.特養入所の100歳の義母、介護タクシーで整形外科外来受診(2022/1/25)
『100歳義母看取り・見送り体験記<第3フェーズ:終活完遂期>シリーズ記事リスト』
1.近づく100歳義母の死期。家族葬か直葬か、葬儀の事前検討 (2022/7/12)
2.特養生活の100歳義母を看取り、見送った1ヶ月 (2022/9/16)
3.特養での義母看取り介護から看取り、お別れ・退所まで (2022/9/17)
4.特養で亡くなった100歳義母の葬儀場移送、直葬式、火葬・骨上げまで (2022/9/18)
5.永代供養墓の契約は私たち夫婦の終活を兼ねて (2022/9/19)
6.亡き義母名義の土地相続手続きに振り回される (2022/9/22)
7.100歳死去義母の社会保険関係諸手続きで故人の社会との関係消滅を実感 (2022/9/23)
8.義母92歳時老後自己資金1千万円、100歳看取り・見送りで残高ゼロに(2022/9/25)
9.世代を引き継ぐ看取り・見送り、自身の介活・終活を考える段階に(2022/9/26)
10.故人101歳誕生日10月15日、永代供養墓・開眼供養入魂式を営む(2022/10/15)
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