介護休業と介護休暇の適切な活用法:「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」ー25

「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」シリーズを、最後に添付している構成に従って進めてきています。前回から、「第7章 家族との介護協力と介護離職防止対策」に入っています。

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介護休業と介護休暇は、家族の介護を支えるための重要な制度です。
これらの制度の利用可否は、家族の就労状況や企業の支援策に大きく左右されます。
本記事では、「7-1: 家族間の協力とコミュニケーション、役割分担とメンタルケア」で示した家族モデルを用いて、介護休業法の適用を確認し、その結果に基づいて家族間のコミュニケーションをどう進めるべきかについて具体的に解説します。
また、制度を利用できない場合の対応策についても提案いたします。


このセクションでは、介護休業制度の概要と利用条件について、前回記事で提示した家族モデルに基づいて確認し、制度の利用可否について家族間でどのように話し合うべきかを提案します。
また、企業独自の介護支援策の確認方法や、制度を利用できない場合の対応策も検討します。
なお、介護休業制度の概要・内容については、以下の過去掲載の記事で確認頂ければと思います。

1)家族モデルを用いた確認の重要性

家族内で介護を担うメンバーがどのような就労状況にあるかを確認することが、「介護休業」の取得可能性を見極めるために非常に重要です。以下に、家族モデルを用いた具体的な確認方法を示します。

モデル1:両親ともに介護が必要な場合
両親が要介護状態にあり、子どもたちが介護を支えるケースでは、同居している子どもや近隣に住む子どもが介護休業を取得できるかを確認します。
働いている企業や組織がきちんと介護休業法に則って社員・職員の介護休業・介護休暇の取得を支援しているか、あるいは独自の介護支援制度を導入・取得推奨しているかを確認し、自身の活用方法を調べておきましょう。
この準備は、以下のモデルだけでなく、すべてに共通の必要行動です。
モデル2:両親のうち片方が介護を必要とする場合
配偶者の介護もできる健康状態にある親が主な介護者となるケースでは、もしその親が働いていれば、その企業の介護支援制度の有無を確認し、休業を取得する可能性を検討します。
また子どもが親と共に介護を協力して担う場合も、自分が勤務する企業等についても同様確認しておくことは当然です。
他の協力をしてくれる兄弟姉妹についても同じように調べ、どのように介護を分担できるか、話し合っておきます。
モデル3:片親のみが存命でその親が介護を必要とする場合
このケースでは、前項でも述べた内容と同じ意味ですが、介護を担う子どもが介護休業を取得できるかどうか、特に就労形態や企業の支援制度の有無を確認します。
また、利用できる地域の支援サービスや、家族間での役割分担についても話し合います。

2)企業独自の介護支援策の確認

介護休業法に基づく制度の利用が難しい場合でも、企業が独自に提供する介護支援策が利用できる場合があります。
このような支援策の内容を事前に確認し、家族間で共有することが重要です。
特に、時短勤務やフレックス制度など、法定の介護休業に代わる選択肢を検討します。

3)制度利用が難しい場合の対応策

外部支援サービスの活用
介護休業を利用できない場合、デイサービスや訪問介護など、地域の介護支援サービスを積極的に活用することが推奨されます。これにより、介護者の負担を軽減できます。
家族間での役割分担
介護休業が利用できない場合、家族間で役割を明確にし、負担を分散させる方法を話し合います。たとえば、平日は働いている家族が支援を行い、週末は他の家族メンバーが介護を担当するなど、柔軟な対応が求められます。

このセクションでは、介護休業制度の概要と利用条件について、家族モデルを用いて具体的に確認しました。
家族間で制度の利用可否を確認し、最適な介護体制を築くことが重要です。
また、企業独自の介護支援策の有無を確認し、必要に応じて外部支援を活用する方法も検討しましょう。


介護休暇は、短期間の介護支援を目的とした制度であり、介護休業と同様に育児・介護休業法に基づいています。
この項では、家族モデルを用いて、介護休暇の利用可否を確認し、適切なタイミングで活用するための方法を解説します。また、制度を利用できない場合の対応策についても提案します。

1)介護休暇の概要

介護休暇は、1日または半日単位で取得できる制度で、短期間の介護対応が必要な場合に非常に役立ちます。
この制度は、介護休業法に基づいており、正社員や特定の条件を満たした非正規社員が利用できます。
以下の記事で「介護休暇」について述べていますので、確認して頂ければと思います。
介護休業法を順守している企業・団体では、この「介護休暇」の取得についても、企業ぐるみで対応しているのではと想像しますが、中小企業や業種によっては、まだまだ運用が困難な例も多いのではと思われます。


2)家族モデルを用いた確認

前項の「介護休業」での家族モデルの記述と基本的には同じになりますが、一応、繰り返しておきました。
「介護休業」が「介護休暇」に置き換わっただけですが、実際の運用と活用方法に関しては、介護休業とは全く異なり、急な対応、短時間だけの対応など、目的が限定され、かつ非常に役に立つ、助かる制度なので、しっかり確認しておいて頂きたいと思います。
モデル1):両親ともに介護が必要な場合
両親が共に要介護状態にある場合、同居している子どもや近隣に住む子どもが介護休暇を取得できるかを確認します。
急な体調変化や通院が必要な場合、介護休暇が非常に有効です。
急な場合だけでなく、1日は必要のない、通院のための介護や他の家族の介護の代わり役を担う場合など事前に計画を組んで取得・利用するなど考えられます。
・モデル2):両親のうち片方が介護を必要とする場合
介護を必要とする親がいる家庭では、健康な親が介護休暇を取得できるかを確認し、必要に応じて計画的に取得します。また、家族間での情報共有や役割分担が重要です。
モデル3):片親のみが存命でその親が介護を必要とする場合
このケースでは、介護を担う子供が介護休暇を取得できるかを確認し、急な対応が必要な場合に備えておくことが求められます。

3)制度利用が難しい場合の対応策

介護休暇を利用できない場合でも、短期間の支援が必要な場合には、以下のような方法を検討します。
柔軟な時間管理
介護休暇が利用できない場合でも、フレックス勤務や短時間勤務の選択肢がある場合は、それらを活用して仕事と介護を両立させます。
外部支援の併用
デイサービスや訪問介護を活用し、介護者の負担を軽減します。特に、短時間でのサポートが必要な場合には、地域のサービスを利用することが効果的です。

介護休暇は、短期間の介護支援に非常に有効ですが、その利用には条件や制約があります。
家族モデルも参考にして頂き、利用可否を確認し、場合によっては外部支援を活用することで、介護と仕事を両立させることができるよう働きかけしてください。


すべての家族が介護休業や介護休暇を利用できるわけではありません。
このセクションでは、制度を利用できない場合の対応策について、具体的な方法を紹介します。

1)制度利用の有無・可否の確認と家族間での情報共有

まず、家族内で介護休業や介護休暇を利用できるかどうかを確認することが最初のステップです。
これは、企業の就業規則や労働組合のガイドライン、人事部門の問い合わせによって確認できます。
本来、法律で規定されている制度であり、企業等適用対象となる場合(ほとんどですが)のそのとおり運用する義務・責任があります。
しかし、企業等によっては、その取得申請に圧力をかける風潮や文化があったり、社員・職員自らが遠慮したり躊躇ったりする例もまだまだ多いとされています。
こうした実態から早く抜け出すためにも、その取得の権利を持つ方は、積極的に働きかけ、行動することが大切です。
なおそれとは別に、企業が独自に提供している介護支援制度がある場合、その内容をしっかり把握し、有効に活用する方法を検討しておくこともお薦めします。

2)育児・介護休業法の適用を受けない就労者・自営業者の場合

育児・介護休業法の適用を受けない就労者(例えば、自営業者、フリーランス、短時間労働者など)の場合、法定の介護休業や介護休暇は利用できません。そのため、以下のような代替策を検討する必要があります。
地域の介護支援サービスの活用
市町村が提供する介護支援サービスや民間の介護サービスを積極的に利用します。
たとえば、デイサービスや訪問介護、ショートステイなどのサービスを計画的に利用することで、介護者の負担を軽減できます。
家族間の役割分担と外部支援の計画
家族全員がそれぞれの役割を明確にし、必要に応じて外部支援を利用することで、介護負担を分散させます。
たとえば、週末だけ訪問介護を利用し、平日は家族でサポートするなど、柔軟な対応も検討してみては、と思います。

「育児・介護休業法」で決められた介護休業の取得や介護休暇の活用は、介護を担い人すべてが実行できるわけではありません。
その法律の適用を受ける企業や職場で働く人は、その権利を有効に活用して頂きたいと思います。
一方、適用される企業・事業所であっても、現実的には、その制度の利用率・取得率は、中小企業では非常に低いという実態があります。

(参考):実際の介護休業の取得期間:厚生労働省データ令和4年度

介護休業や介護休暇を利用できない場合でも、地域や民間の支援サービスをうまく活用し、家族間での役割分担を明確にすることで、介護者の負担を軽減することが可能ですが、これも現実には、そう簡単なことではありません。
それだけに、一層家族全員が連絡・連携を取り、協力し合い、現実的に可能な、望ましい介護体制を築くことが必要になります。

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