
在宅看護と介護保険外サービスの活用法|介護離職を防ぐための実践ガイド:「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」ー6
「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」シリーズに取り組んでいます。
今回は、「第2章 介護保険制度、保険外制度の活用と介護離職防止」の第3項「在宅看護と介護保険外サービスの活用法|介護離職を防ぐための実践ガイド」を取り上げます。

第2章 介護保険制度、保険外制度の活用と介護離職防止:2-3 在宅看護と介護保険外サービスの活用法|介護離職を防ぐための実践ガイド
介護離職を防ぐためには、適切な介護サービスの利用が不可欠です。この記事では、在宅看護、介護保険外の民間サービス、地方自治体の支援制度、民間保険、NPOやボランティア団体の支援について解説します。
1.在宅看護、介護保険外の民間サービスの紹介
1)在宅看護とは
在宅看護は、自宅で医療や看護サービスを受けられる仕組みです。
主なサービス内容には、看護師による定期的な訪問、医療機器の提供、服薬管理、リハビリテーション支援、食事や栄養管理が含まれます。
特に以下のようなケースで有効です。
・慢性疾患の管理:糖尿病や心臓病など、慢性疾患のある患者が自宅で継続的なケアを受ける場合。
・リハビリテーション:骨折や手術後のリハビリを自宅で行う場合。
・ターミナルケア:末期の患者が自宅で最期の時間を過ごしたい場合。
2)在宅看護と介護保険の違い
在宅看護は、公的健康保険や介護保険のどちらかでカバーされます。
医療的なケアが主な目的の場合は健康保険、日常生活のサポートが主な目的の場合は介護保険が適用されます。
この違いにより、サービス内容や料金が異なるため、具体的なケアの内容に応じて適切な制度を選ぶ必要があります。
3)介護保険外の民間サービス
介護保険外のサービスは、介護施設や介護サービス事業者、民間企業が提供しています。
これらのサービスは、介護保険でカバーされない部分を補完する役割を果たします。
主なサービスには以下のようなものがあります。
・訪問介護:日常生活の支援(入浴、食事、掃除など)を行うヘルパーが自宅を訪問します。介護保険が適用されない場合でも、自己負担で利用できるサービスとして提供されています。
・デイサービス:日中に施設で食事、入浴、リハビリなどを提供するサービス。特に介護者が働いている場合、利用者を日中預かることで時間的な余裕を作ることができます。
・リハビリテーション:専門のリハビリテーション施設で物理療法、作業療法、言語療法などが提供されます。介護保険の範囲外であっても、個別のリハビリプログラムを受けることが可能です。
・ショートステイ:一時的に施設でのケアを受けることで、介護者が休養を取るためのサービス。短期間の入所が可能で、介護者が旅行や休息を必要とする際に利用されます。
・食事配達サービス:介護施設が提供する食事配達サービスでは、栄養バランスの取れた食事を自宅に届けることができます。特に調理が困難な場合や、食事の準備が負担となる場合に利用されています。
4)介護施設以外のサービス提供者
介護施設以外にも、以下のような民間企業や非営利団体(NPO)がサービスを提供しています:
・家事代行サービス:民間の家事代行会社が提供するサービスで、掃除や洗濯、買い物代行など日常生活の家事を支援します。
・ケアマネジメントサービス:介護保険の枠外で、個別のケアプラン作成やサービス調整を行うケアマネジャーが提供するサービス。
・民間リハビリテーションプログラム:リハビリ専門の企業やクリニックが提供する、介護保険外のリハビリプログラム。
5)民間サービスの選び方と注意点
民間サービスを選ぶ際には、以下の点に注意が必要です。
・サービスの質:提供者の資格や経験、サービス内容を確認します。例えば、看護師やヘルパーの資格保有状況や、サービスの提供実績などを調べることが重要です。
・料金:料金体系が明確であるか、契約内容に含まれるサービスが料金に見合っているかを確認します。特に、追加料金が発生する場合の条件や費用を事前に確認しておくことが必要です。
・契約条件:解約条件や契約期間など、細かい条件を事前に確認することが重要です。契約書に記載されている条項をよく読み、納得のいく内容であるか確認しましょう。
・評判と口コミ:他の利用者の評判や口コミを参考にし、サービスの信頼性を確認します。インターネット上のレビューサイトや、知人の紹介などを利用して情報収集を行うことが有効です。

2.各種支援制度の詳細とその利用法
1)地方自治体の支援制度
多くの地方自治体では、介護をサポートするための独自の支援制度を設けています。
これらの制度は、地域ごとに異なるため、詳細は各自治体の窓口で確認する必要があります。
以下にいくつかの例を挙げます。
・介護用品の補助金:介護ベッドや車椅子などの介護用品を購入する際の補助金制度。経済的負担を軽減するために活用できます。
例:東京都の「高齢者介護用品購入補助制度」
・家族介護者支援金:家族が介護に専念するための経済的支援を提供する制度。一定の条件を満たす場合に支給されます。
例:大阪市の「家族介護者支援金制度」
・緊急時の一時的な介護支援:急な体調不良や事故などで一時的に介護が必要になった場合の支援。緊急時のサービス提供を行います。
例:神奈川県の「緊急時介護支援事業」
2)民間保険と介護サービス
民間保険会社が提供する介護保険は、公的な介護保険の補完として利用できます。
これにより、介護保険の範囲外の費用をカバーすることができます。
以下に、主要な保険会社とその介護保険商品について紹介します。
① 損保ジャパンの「介護一時金保険」
・特徴:要介護状態になった際に一時金を受け取ることができる。自由に使える資金として利用可能。
・費用:月額数千円から。
・留意点:一時金の受け取り条件や受け取れる金額に制限がある。
⇒ 介護一時金保険 – 損保ジャパン
② メットライフ生命の「介護保障特約付き終身保険」
・特徴:終身保険に介護保障が付帯しているため、介護が必要になった場合に介護年金が支給される。
・費用:保険料は年齢や健康状態による。
・留意点:介護年金の支給額や期間に制限がある。
⇒ 介護保障特約付き終身保険 – メットライフ生命
③ アフラックの「介護保険」
・特徴:介護状態に応じた定額給付金が支給される。要介護状態の認定に基づく。
・費用:月額数千円から。
・留意点:給付金の支給条件や対象となる介護状態の基準が細かく設定されている。
⇒ 介護保険 – アフラック
④ 第一生命の「介護終身保険」
・特徴:終身型の介護保険で、要介護状態に応じた保険金が支払われる。終身にわたる保障。
・費用:保険料は加入時の年齢や性別により異なる。
・留意点:保障内容や保険金の支給条件について詳細な理解が必要。
⇒ 介護終身保険 – 第一生命
最近では、保険会社の多くが介護保険サービスを提供していますから、みなさんが現在加入している保険会社に問い合わせてみてはと思います。
3)NPOやボランティア団体の支援
NPOやボランティア団体は、介護支援のためのさまざまなサービスを提供しています。
これらの団体は、特に介護に対する社会的な理解を深めるための活動を行っており、家族介護者にとって重要なリソースとなります。
・介護相談:介護に関する専門的なアドバイスを提供。介護者が直面する問題についての相談に応じます。
・心理的サポート:介護者のストレスや心理的負担を軽減するためのカウンセリングやサポートグループ。
・情報提供:介護に関する最新の情報や制度の紹介。イベントやセミナーを通じて情報を提供します。
4)NPOやボランティア団体の検索方法
各地域におけるNPOやボランティア団体の情報を調べるには、インターネット検索が有効です。
具体的には「地域名+NPO+介護支援」や「地域名+ボランティア+介護」などのキーワードで検索することで、その地域で活動している団体を見つけることができます。
また、地方自治体のホームページや地域の福祉センターに問い合わせると、さらに詳しい情報が得られることがあります。

まとめ
在宅看護や介護保険外のサービス、地方自治体の支援制度、民間保険、NPOやボランティア団体の支援を適切に活用することで、介護における負担を大幅に軽減し、介護離職を防ぐことが可能です。
但し、そのほとんどが有料・有償です。
そのため、通常の公的介護保険および公的医療保険での出費とは別に発生する費用であり、どれが有効か、不可欠か、介護される人の収入・預貯金・資産、介護する人の収入・預貯金・資産も十分考慮する必要があります。
今回紹介した一部は民間保険会社の介護保険であり、「保険料」を負担するため、これから想定される家族介護、自身の介護について、考えた上で、加入・利用などの判断を行うことになります。
従い、今回紹介したこれらのサービスや制度を活用するためには、事前に十分な情報収集を行い、自身の状況に最適なサポートを選ぶことが重要です。
この記事を参考に、自分や家族の介護生活をより良いのにしていくための計画を立て、介護離職を防ぐための備えにもなるよう取り組んで頂きたいと思います。
次回は、第2章の最終回、「介護にかかる費用と負担軽減の方法」を取り上げます。

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