
義母92歳時老後自己資金1千万円、100歳看取り・見送りで残高ゼロに
100歳義母看取り・見送り体験記<第3フェーズ:終活完遂期>
(2022年7月12日~2022年10月15日)
100歳で特養で亡くなった義母。
看取り、葬式・火葬によりお見送り、お墓の手配、土地相続手続き、と主だった終活テーマに取り組み、それ以
外の付随する必要事項として社会保険に関する諸手続きも振り返りました。
下記のシリーズの記事リストの7までがその回想記ですが、今回は、老後資金2,000万円問題と結びつけての課題
です。
『100歳義母看取り・見送り体験記<第3フェーズ:終活完遂期>シリーズ記事リスト』
1.近づく100歳義母の死期。家族葬か直葬か、葬儀の事前検討 (2022/7/12)
2.特養生活の100歳義母を看取り、見送った1ヶ月 (2022/9/16)
3.特養での義母看取り介護から看取り、お別れ・退所まで (2022/9/17)
4.特養で亡くなった100歳義母の葬儀場移送、直葬式、火葬・骨上げまで (2022/9/18)
5.永代供養墓の契約は私たち夫婦の終活を兼ねて (2022/9/19)
6.亡き義母名義の土地相続手続きに振り回される (2022/9/22)
7.100歳死去義母の社会保険関係諸手続きで故人の社会との関係消滅を実感 (2022/9/23)
8.義母92歳時老後自己資金1千万円、100歳看取り・見送りで残高ゼロに(2022/9/25)
9.世代を引き継ぐ看取り・見送り、自身の終活を考える機会(2022/9/26)
10.故人101歳誕生日10月15日、永代供養墓・開眼供養入魂式を営む(2022/10/15)
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92歳時老後資金1千万円、100歳看取りで残高ゼロに
今回は、視点を変えて、義母が介護を必要とした時点から、サ高住と特養の2種類の介護施設で生活を送り、
看取られ、見送るまで、必要とした費用等を集計して、いわゆる老後に必要な資金について考えてみたいと
思います。
なお、関連するサ高住と特養、2種類の介護施設利用経験で、それぞれに必要とした諸費用については、
『98歳義母介護体験記<第2フェーズ:特別養護老人ホーム(特養)介護期>シリーズ』において
・義母2020年入居特養と2015年入所サ高住との必要費用比較 (2020/7/11)
の中で触れています。
今回は、その記事を別の視点でアレンジしたものになります。
老後必要資金2千万円説を100歳逝去の義母の例で検証してみる
老後のために必要な資金・資産が2,000万円、と話題になりました。
老後のあり方は、高齢者の人数分の違いがあるわけで、一口に2千万円といっても、どのように使われるかは、
介護の必要の有無や受ける介護内容の違い、それによる生活の仕方の違いで、これが標準と設定することは困
難です。
私の義母の場合も、単に一つの例に過ぎず、だからどうだ、だからどうすべきというわけではありません。
もしかしたらごく稀な例の括りに入るかもしれませんが、一応参考までに整理したもの、と読んで頂ければと
思います。
まず義母の介護状態が始まるまでの基本的な事情・状況を私的なことですが、敢えてメモしておきます。
義母の老後、介護、看取り・見送りの背景と概要
義母は、50代半ばから90歳まで、生命保険の営業(外務職員)に従事した後、退職し、いわゆる老後の生活
に入りました。
もうこれ自体、特殊な例といってよいのではと思います。
もう一つの背景は、二人の娘が中学生・小学生の時に夫と離婚し、女手一つで子どもを育ててきた、いわゆる
シングルマザー。
そして40年前に、それ以前に彼女が取得し暮らしていた土地・家に、私たちが新しい家を建て、夫婦と3人の
息子の家族と同居暮らしを始めました。
保険の営業で生計を立ててきたのですが、やり手でガンガン稼ぐところまでは至らず、結婚した長女・二女家
族を顧客にするなどやりくりもし、細々とやってきました。
私たち家族との同居生活では、母は仕事だけやっていればよく、食事・洗濯等家事は、一切私の妻(長女)が
担ってきました。
唯我独尊タイプの母親で、娘二人との関係は、傍目に見ても良好とはいえないものであり、姉妹とも子ども時
代の母との関係に何かしらのトラウマを抱えていたこともその背景にありました。
因みに、離婚・離縁した義父は、離れて岐阜市で暮らしていましたが、72歳で死去し、一応死に目には娘(妻)
も立ち会い、看取っています。
そして母は、リタイアして2年後の92歳2015年11月に、左脚大腿骨を骨折し、入院手術、転院・リハビリ、そ
して要介護1の介護認定。
仕事をやめてからは、認知症とまではいえませんが、老いがもたらす影響も進むようになっており、またこの
時期には、妻の方も体調を崩したことから心身とも健康に不安を抱く状態。
そこで二人の関係を考えると、自宅で妻が母を介護することになると、共倒れになる可能性が高いと判断し、
当然ながら退院して家に戻ると考えていた義母を、ほぼ強引に説き伏せ、サービス付き高齢者住宅(サ高住)に
入所してもらい、2015年3月から同施設での介護生活に入りました。
以降、比較的頻繁に好物の果物・料理などを持っていきましたが、妻と母とは気持ちのいい会話が交わせない
ので、替わってほとんど私が届け、妹は妹で同様に別の日に行き、様子を見てくる生活。
当初は馴染めなかったのですが、他人との施設生活なので、緊張感もあるためか、非常に気丈に、元気に暮ら
すようになりました。
しかし、少しずつ老いも進むなか、2019年11月に施設から、骨折したようなので、外来救急で診察を受けに行
って欲しいとの連絡。
診断の結果は、以前の骨折部の下の骨折で、90歳超の高齢者の手術は危険であり、本人も手術を希望しないと
いうことで、その状態のままの保存治療とし、固定・安定化する判断に。
そのため、車椅子生活を余儀なくされることになり、介護認定は、いきなり<要介護4>に。
そこで、かなり入居待ちを強いられると聞いていた特別養護老人ホーム探しを12月に開始。
いつ入所できるか分からない不安な状態になるかと思っていたところ、年が改まり2020年の1月下旬に、ある
特養に相談に行ったところ、幸いその年の5月に新しく開設される特養があると知らされ、2月に面談・選考
と進み、運良く入所を認めてもらえることに。
そして、コロナ禍の拡大が問題となる状況下、2020年5月1日に、サ高住からこの特養に転所し、2年余り過
ごした後、今年2022年8月16日の看取りを迎えました。
義母の介護状態に入る前の預貯金及び介護施設生活期間における収支概要
前置きが長くなりました。
ここからが本題ですが、極力簡潔に、事務的に上記事情と結果をメモしてみます。
2015年11月92歳の骨折・入院時の義母の預貯金は、以前から本人が「1千万円は残しておく」と言っていたとおり、ほぼ1千万円ありました。
この預金は、生活費として娘(妻)に渡す額が極めて少額だったことで可能だった金額といえます。
(余談ですが、生命保険の営業をやっていたのに、本人の生命(終身)保険は無しでした。)
この骨折時から、妻が母の預貯金の入金・出金の管理を開始。
入院・手術・リハビリ等医療費の支出(概算45万円)をまず行い、サ高住入所に伴う必要物品の購入と同所での介
護と生活にかかる請求諸費用の口座引き落としが軸となる支出項目。
このサ高住での5年3ヶ月間の支払い総額は、1,348万円、1ヶ月平均の支出(請求)は、214,000円。
それ以外の支出として、先述の入所時の家具・家電品、入所後の外来医療費、衣料品・日用品・食品費・母指定の
ペットボトル天然水、月々の小遣い、退所前に購入の車椅子代等があり、おおよそ200万円。
次の特養での施設からの請求支払い額は、2年3ヶ月間合計344万円で、月平均127,000円。
同様その他支出として、引越し費・介護タクシー代、外来診療費、水・おやつ・衣類費用・御礼費等で概算20万円。
2つの老人施設への支払総額は、約7年間で1,692万円と高額。
一方、2015年2月から2022年8月までの年金収入総額は、1,055万円。
施設支払総額と、年金収入総額の差額は、637万円の支払い超。
先述の1千万円を含む、管理開始時の義母の預貯金残高1,035万円を加えると、差引残合計398万円。
この他、銀行口座記帳の収支として、高額介護サービス費の還付金とコロナ禍での給付金合計が約50万円、サ高住
時使用携帯電話代の引落し支出分が約10万円。
義母所有土地にかかる固定資産税・都市計画税の40年間の立替払い額が約70万円。
これらと先述の別収入・支出分を集計し、これに葬儀費・お墓代(合計75万円)を加えると、残高は28万円。
この後、相続登記手続きに要した費用と今後の納骨供養時予定の支出等を加えると残高はほぼゼロになります。
というわけで、結局母は、見事に一銭も残さず、すべて使い切ってこの世に別れを告げて逝ったことになります。
そして残ったのは、先の記事にように、戸籍の変遷の多さで随分時間と労力を要して手間取った、長女が相続した
約30坪の土地のみというわけです。
※金額はすべて1,000未満は切り捨てました。
8月末現在の数字で、死亡後の入出金は、計算に入れていません。
以上の数字は、もう一人の相続人である二女(妹)にきちんと説明するために集計・集約したものです。

やはり、老後2千万円説は、かなり現実的な金額かと
確かに義母の場合は特殊な例とは思います。
しかし、多くの方々が、自宅での介護を希望するのでしょうが、家族への負担は相当のものがあります。
とりわけ、老老介護が当たり前になっている状況では、在宅介護はやはり不安ですし、いずれ残るのは一人だけになります。
やはり、介護施設に入所できるのが理想と私は思います。
しかし、要介護3以上でないと特養は利用できません。
仮に特養に入れる介護認定を受けても、老齢基礎年金だけの年金収入では、必要費用は賄えません。
義母の場合、実質的な老後の生活は、90歳を超えてからで、これは稀なケースでしょう。
現実の老後生活がもっと長きにわたる人のほうが圧倒的に多いのではと思います。
仮に老後の生活が20年としたら・・・。
その間の年金収入をあてにしても、2千万円は持っていたい。
現在、預貯金が1千万円以上ある場合は、特養入居条件から除去されるかもしてません。
義母の場合、当初1千万円あったのですが、月平均20数万円を必要としたサ高住生活で、相当預貯金を取り崩しており、これ以上サ高住生活が続くと、残高がゼロになり、年金生活者である私たちが負担せざるを得なくなると随分不安でした。
幸か不幸か?義母が骨折したことで、かつ運良く特養が見つかったことで、なんとか年金だけでやっていく目処がついたところでの看取りでした。
なお、賃金収入で生計を立てていたため、老齢基礎年金だけという低額での年金生活でなかったこと(年金月額11万円程度)、その年金収入も市民税が非課税の所得だったため、何かしらにつけ恩恵を受けたことなど、恵まれていたといえるかと思います。
一つの特殊な例でしたが、何かしらの参考・ヒントになるのではと、敢えて公開した次第です。
次回は、これまでの体験記の総括をと思います。
(以上2022年9月25日、記)
前回の記事は:100歳死去義母の社会保険関係諸手続きで故人の社会との関係消滅を実感
次の記事は:世代を引き継ぐ看取り・見送り、自身の介活・終活を考える段階に

個人事情により全く異なる必要老後資金
義母が元気な時に「貯金が1,000万円あり、これを残していくから」と長女(娘)に話をしていました。
93歳にサ高住に入り、この1,000万円が義母自身の老後生活資金となり、これに受給年金が加えられました。
介護施設に入らずに、在宅介護を私たち夫婦が担えば、そこからの出費も抑えられたでしょうが、この時には
私たちの生活そのものに膨大な負担が生じ、妻の健康が崩壊し、早晩介護生活も破綻し、介護施設に入らざる
を得ないことになったでしょう。
別のケースを考えれば、80歳代で介護施設に入所すれば、1,000万円も相当早く底をつき、私たち夫婦の家計か
らの負担を余儀なくされる状態の早くから至ったに違いありません。
私たちの事情・状況だけを考えても、様々な想定ができます。
すなわち、個人個人、家庭家庭の事情はすべて異なり、一概に老後必要資金2,000万円とすることに合理性はあ
りません。
たまたま、90歳過ぎからサ高住・特養2種類の介護施設生活に義母が入ったことでの老後資金1,000万円使い切
りだっただけといえるのではないかと思います。
本シリーズも、残り2回となっています。
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