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地域包括支援センターと介護保険認定の流れ|介護の第一歩をスムーズに進める方法

本稿は、2024年7月28日に公開した記事を、一旦閉鎖し再開した当サイトに、本日再掲したものです。
当時の実態と現状では異なる内容が含まれていることがあり得ます。ご了承ください。
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「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」シリーズです。
第1章に続き「第2章 介護保険制度、保険外制度の活用と介護離職防止」の第4項「介護にかかる費用と負担軽減の方法」が今回のテーマです。

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「介護離職しないための8ステップ+1と実践法」シリーズー7

介護保険法に基づいて運営・運用される公的介護サービスは、原則として、介護保険被保険者および企業負担の介護保険料と介護サービスを受ける人の自己負担によっその費用が賄われます。
しかし、介護に要する費用負担が、生活費を圧迫し、日常生活に支障をきたしている多くの人々がいます。
そうした経済的に困窮する親など家族介護を担う人が、自身の収入をその補填に充てざるを得ないケースも多いでしょう。
それにとどまらず、日々の介護を実際に担う家族がいないために、仕事との両立を断念し、介護離職を余儀なくされる人が年々増え続けていることが、問題になっています。
この場合、当然収入がなくなる、あるいは大幅にダウンすることから、介護費用負担は重くのしかかります。
そのため、実際に介護費用はどのくらいかかるのかを知っておくべきですし、その費用を少しでも軽減・節減できるよう、有効な情報や知識を入手しておくべきでしょう。
今回は、この視点で、必要かつ有益な情報を整理しておきたいと思います。

1)介護サービスの2つの種類と料金設定

在宅サービス
訪問介護、デイサービス、ショートステイなどの在宅サービスの料金は、利用頻度やサービス内容によって異なります。訪問介護は1時間あたりの料金が設定されており、地域や提供事業者によって価格が変動します。デイサービスやショートステイの費用も、利用時間や追加サービスの有無により異なります。
施設サービス
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホームなどの施設サービスは、月額の費用が高額になることが多いです。これには、施設の設備やケアの質、所在地などが影響します。特養では、基本的な生活支援と医療ケアが提供されるため、その分費用も上昇します。

2)介護保険サービスにかかる基本利用料

介護保険サービスを利用した場合の利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)です。
仮に1万円分のサービスを利用した場合に支払う費用は、1千円(2割の場合は2千円)。
介護保険施設利用の場合は、費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)負担のほかに、居住費、食費、日常生活費の負担も必要になります。
ただし、所得の低い方や、1ヶ月の利用料が高額になった方については、別に負担の軽減措置が設けられており、次項で紹介します。
※居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。

3)サービス利用者の費用負担等
<居宅サービスの1ヶ月あたりの利用限度額>

居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。
(1ヶ月あたりの限度額:下記表のとおり)
限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担です。
限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。

<施設サービス自己負担の1ヶ月あたりの目安>

個室や多床室〔相部屋〕など住環境の違いによって自己負担額が変わります。

※介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1ヶ月の自己負担の目安

4)介護保険適用外およびその他の関連費用

介護保険外のサービス
自費での介護や専門的なリハビリテーション、特別な食事や生活支援など、介護保険が適用されないサービスも存在します。これらの費用は全額自己負担となり、特に質の高いサービスを希望する場合、負担が大きくなることがあります。
医療費と関連費用
介護と共に発生する医療費や薬代、通院費用なども無視できない負担です。また、福祉用具や住宅改修の費用も介護に関連するコストとして考慮する必要があります。
後述する<高額医療・高額介護合算制度>についても知っておいてください。

介護保険を利用することで、サービス費用の一定割合が軽減されます。自己負担額は一般的に1割から3割で、所得によって異なります。特に低所得者向けの軽減制度も存在し、申請によって自己負担額をさらに抑えることができます。

1)利用者負担の軽減について

利用者負担が過重にならないよう、所得に応じた区分により次の措置が講じられています。

一定額を超える介護費用を支払った場合、高額介護サービス費制度を利用して払い戻しを受けることができます。この制度は、家庭の経済状況を基にして給付されるため、家族の負担を大きく軽減する手段となります。
月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く。)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給されます。
支給を受けるためには、市区町村に申請することが必要です。


※「世帯」とは住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額を指し、「個人」とは介護サービスを利用したご本人の負担の上限額を指します。
※第4段階における課税所得による判定は、同一世帯内の65歳以上の方の課税所得により判定します。

同じ医療保険の世帯内で、医療保険と介護保険両方に自己負担が生じた場合は、合算後の負担額が軽減されます。
決められた限度額(年額)を500円以上超えた場合、医療保険者に申請をすると超えた分が支給されます。

介護保険施設入所者等の人で、所得や資産等が一定以下の方に対して、負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給されます。
特定入所者介護サービス費の利用には、負担限度額認定を受ける必要がありますのでお住まいの市区町村に申請をしてください。

2)その他の公的支援制度

介護保険制度に基づく介護をサポートする制度・システムの活用以外に次の公的制度も場合によって有効なので知っておきたいものです。
障害者手帳:介護が必要な方が障害者手帳を取得することで、公共交通機関の利用料金の割引や、税金の軽減など、様々な支援を受けることができます。
自治体独自の支援制度:一部の自治体では、介護にかかる費用を補助するための独自の制度を設けています。例として、介護用品の購入費用の補助や、緊急時の一時的な支援などが挙げられます。

1)費用軽減の具体的例

ここでは、個人レベルでの費用軽減・節減を実践した具体例を2例挙げます。
(例1): 高額介護サービス費の利用
Aさんは在宅介護を受けており、月々の介護サービス費用が高額になることが多いです。高額介護サービス費制度を利用することで、一定額を超える部分が払い戻しされ、自己負担が軽減されました。例えば、月額自己負担上限額が37,200円に設定されている場合、それを超えた金額は返還されるため、年間で大きな節約が可能です。
例2): 介護用品の補助金活用
Bさんは要介護状態の家族のために特殊寝台を購入しましたが、高額なため負担が大きいと感じていました。そこで、市町村が提供する介護用品の補助金制度を活用し、購入費用の一部を補助してもらうことができました。これにより、実質的な負担を大幅に軽減することができました。

2)自治体の介護支援政策例

次に、多くの自治体で介護支援制度を条例として制定し、活用されていますが、その中からごく一部を紹介します。
<上越市 – 介護用品購入費助成
要介護認定を受けている市民に対し、介護用品の購入費用を助成する制度があります。対象となる用品には、車椅子や特殊寝台などが含まれ、購入費用の一部が補助されます。特に、上越市内の介護ショップで購入する場合、補助率が優遇されることがあります。
<高山市 – 地域支援サービス助成>
介護保険の対象外となる地域支援サービス(買い物代行や訪問リハビリなど)に対し、利用費用の一部を助成しています。特に、高齢者の一人暮らしや夫婦のみの世帯を対象に、負担軽減を図るための支援が行われています。
<延岡市 – バリアフリー住宅改修費助成
高齢者や障がい者が安心して生活できるよう、バリアフリー化を目的とした住宅改修費用を助成しています。対象の改修内容には、手すりの設置、段差の解消、浴室改装などがあり、最大で15万円の補助を受けることができます。
<米沢市 – 緊急一時介護サービス支援>
家族の急病や不在時に一時的に介護が必要な場合、ショートステイや訪問介護サービスの費用を助成する制度があります。特に、短期間の利用が必要な緊急時に迅速な対応が可能となるよう、予算が確保されています。
・<大阪市 – 介護保険外サービス利用助成>
大阪市では、介護保険の対象外となるサービス(例えば、訪問理美容サービスや買い物代行サービスなど)を利用する際の費用を一部助成する制度があります。助成額は利用したサービスの半額まで、年間で最大30万円の補助が受けられます。

これらの地方自治体の支援制度は、地域によって特色があります。
地元の自治体の支援制度について、市町村の介護担当部門に問い合わせ、あるいは、ネットで調べ、これを活用することで費用負担の軽減につなげてください。

最後に、第2章各項の内容も受けて、介護にかかる費用を節減・軽減するための方法を総括しました。

1)公的支援制度の活用
介護保険制度、高額介護サービス費、自治体の助成金制度など、利用可能な公的支援制度を最大限に活用しましょう。これにより、自己負担額を相当抑えることが可能です。
2)民間保険の活用
民間の介護保険に加入することで、将来的な介護費用に備えることができます。保険料の負担はあるものの、給付金を受け取ることで自己負担を軽減できます。
3)適切なケアプランの作成
ケアマネージャーと協力して、必要な介護サービスを適切に選択し、無駄のないケアプランを作成することが重要です。これにより、効果的にサービスを利用し、費用を最小限に抑えることができます。
4)地域のリソースの利用
地域包括支援センターや地域の介護支援団体を活用することで、無料または低コストでのサポートを受けることが可能です。情報収集や相談の場としても有効です。

これらの方法を組み合わせることで、介護にかかる費用を効果的に節約し、介護を受ける人、介護を担う人とその家族の負担を軽減することができます。
介護は長期的な課題となるため、事前に多面的に調べておくとともに、計画的に対策を講じることが重要です。
できることならば、こうした介護費用について理解を深め、介護離職を余儀なくされないような準備・対策に結びつけて頂ければと思います。

次回は、第2章のここまでを受けて、介護保険法で規定されて実際に提供される介護サービス、介助サービスのないようについて理解する項を追加することにしました。

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